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講義No.10191

環境汚染物質が薬に?! 一酸化窒素から医薬品をつくる

一酸化窒素の有効利用

 大気中に含まれる窒素の酸化物である一酸化窒素は、物質を燃焼した時に発生する物質です。たばこの煙やディーゼルエンジンの排気にも含まれており、空気を汚し、酸性雨や地球温暖化の原因のひとつとも言われています。工場の煙突からも廃棄物として排出されており、これまで環境負荷を軽減するために窒素に変えるという試みがなされてきました。しかし、これ以外の方法で一酸化窒素を利用する試みはなされていませんでした。そこで、さらに一歩踏み込んで、一酸化窒素を利用して医薬品をつくろうという研究をはじめました。もともと医薬品の構造の中には窒素が入っていて、アンモニアなどを利用して医薬品をつくることが一般的です。この研究では、環境汚染物質である一酸化窒素を利用することに着目した点が画期的と言えます。

一酸化窒素を固定する

 そのためには一酸化窒素を有機分子の中に固定しなければなりませんが、これが難しく、これまで目立った研究成果は報告されていませんでした。一酸化窒素は酸素と反応しやすく、二酸化窒素になりますが、一酸化窒素と二酸化窒素は有機分子と全く異なる反応を起こすために、結果として有機分子を壊していたのです。そこで、酸素を完全に遮断した環境をつくりだし、一酸化窒素とよく反応する有機分子を見つけだすことで、効率的に一酸化窒素を有機分子の中に固定することに成功しました。

進む創薬研究

 一酸化窒素の固定によってつくられる有機分子を原料として、丁寧に、いろいろな反応させることにより、高血圧や狭心症の治療に使われる血管拡張剤をつくれることが証明されました。さらに現在では、神経系に作用する医薬品や抗がん剤をつくる応用研究も進められています。廃棄物である一酸化窒素を有機分子と反応させることで環境への負担を軽減し、さらに創薬コストの削減にもつながるこの研究は、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の実現という観点からも、大きな意義をもつと言えるでしょう。


この学問が向いているかも 創薬化学

新潟薬科大学
薬学部 薬学科 教授
杉原 多公通 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校生の間に、熱中し、時間を忘れてのめり込めることに出会ってほしいと思います。分野はゲームでも音楽でも、なんでもよいと思います。そのためには意識的にたくさんのことに触れ、学ぶことが大切です。
 私もさまざまな学問や研究に触れながら、現在専門にしている創薬化学に出会うことができました。あなたも心から熱中でき、気持ちを動かされる何かを探す努力をしてみてください。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃は活発な子どもで、あまり勉強も好きではありませんでしたが、徐々に理系の学問に興味を抱くようになりました。大学受験の際に、薬をつくるということに魅力を感じ、薬学部に入りました。大学、大学院を経て、ノーベル賞を受賞された根岸英一先生に師事するためアメリカに留学し、帰国後、現在行っている窒素酸化物の固定化の研究を続けています。まだ誰も発見していないことや誰も取り組んでいないことに挑戦し、新しいものをつくりだすことをモチベーションにして、日々の研究活動に取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬会社研究員/官公庁健康福祉事業担当/病院薬剤師/薬局薬剤師

大学アイコン
杉原 多公通 先生がいらっしゃる
新潟薬科大学に関心を持ったら

 新潟薬科大学は、『薬学部』と『応用生命科学部』の2学部からなる生命科学系大学です。
 【薬学部】地域医療に貢献できる薬剤師を育成します。★就職率100%、薬剤師国家試験合格率80.3%(2017-2019年の新卒合格率の平均)
 【応用生命科学部】
 <応用生命科学科(理系)>食品科学・バイオ工学・環境科学・理科教職の4コース★就職率100%(2019年3月卒業生実績)
 <生命産業創造学科(文系)>食品・農業・環境ビジネスを学ぶ文系学科★就職率100%(2019年3月卒業生実績)

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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