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講義No.10131

コメと水だけじゃない? 日本酒をおいしくする微生物の隠れた力を探る

日本酒は微生物によって味が変わる

 日本酒はお米と水だけから造られるため、成分がシンプルだと思われがちですが、実際は、複雑な成分で構成されており、まだまだ解明されていないことも多いのです。日本酒の発酵の主役は酵母ですが、酵母以外の微生物も酒造りに関わるとされています。どんな微生物が、日本酒の中で増えてくるのかは、熟練の職人でも予想がつかないことがあります。そのため、毎回同じ味になるとは限りません。
 日本酒造りに関わる微生物がどのようなはたらきをするかを明らかにすれば、「こういう味の日本酒を造りたい」という要望を叶えることが可能になります。このように、食品は微生物の視点から研究することもできるのです。

酵母と乳酸菌は共存している?

 日本酒を造る過程で、酵母と乳酸菌が共存する時期があります。この発酵段階の様相が、日本酒の味や香りを大きく変化させる可能性があります。日本酒造りにおいて、どういう微生物が、どのタイミングで出現するかは明らかになってきました。しかし、その変化の全容はまだ解明されていません。
 以前は、日本酒に含まれるそれぞれの微生物は単に栄養の奪い合いをしていると考えられていましたが、近年、互いに共生関係にあるのではないかという説も出てきています。こうした発酵の仕組みを明らかにできれば、ほかの多くの食品作りにも活用できるでしょう。

安全な食生活の実現のために

 酵母と乳酸菌は、自然界ではよく見られる組み合わせで、私たちのおなかの中にもいます。ほかにも、パンや漬物、酢など、発酵食品の製造過程でも見られます。このように、酵母や乳酸菌は私たちにとって身近な存在です。しかし、食中毒や感染症などを引き起こす微生物もいます。それらを予防するためにも、微生物のはたらきを解明することが重要となってくるのです。微生物の研究は、安全な食生活を守ることにもつながるでしょう。


この学問が向いているかも 農学、微生物学、細菌学

龍谷大学
農学部 食品栄養学科 准教授
田邊 公一 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 理系の研究というと、実験室の中だけで行う姿をイメージするかもしれませんが、現場でサンプルを採取したり、食品を試食したりと、活動は多岐にわたります。特に私の研究室では、漬物やお酒など、発酵食品を試食する機会も多いです。
 メンバーは女子学生が8割と、ほかの理系の学部と比べて女性の比率が高いのも特徴です。「この食べ物、好きだな」など、ぼんやりした関心でもかまいません。ぜひあなたの興味や関心から、探究を始めてみてください。きっと面白い研究へとつながるはずです。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の時、世界の食糧問題に関心を持ったことがきっかけとなり、大学では農学を学ぼうと志しました。「面白そう」と感じたことが一番の動機でした。学生時代は、ミドリムシやマウスなど、さまざまな生物に触れる経験をし、その中でも、一個の細胞で個体として成立している酵母のシンプルさに最も魅力を感じました。現在研究している日本酒は、酵母による発酵で作られる飲み物ですが、近年のブームを受けて、海外でも日本酒の研究や開発が行われています。日本が起源のお酒だからこそ、研究をリードするのは日本でありたいと思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

漬物会社研究員/食品製造会社栄養士職

研究室
大学アイコン
田邊 公一 先生がいらっしゃる
龍谷大学に関心を持ったら

 『進取と共生』〜世界に響きあう龍谷大学〜
 龍谷大学は、370年の伝統を超え、新たな一歩を踏み出しました。
 その歴史は、江戸時代初期の寛永16年(1639)、京都・西本願寺に、仏教の研究と人材養成のための「学寮」が設けられたことに始まります。
 そして、近世から近代、現代への日本の歴史の中で新しさを重ねて370余年。
 現在では京都・滋賀の3つのキャンパスに、9学部・31学科、専攻と短期大学部、大学院を擁する、全国屈指の総合大学として、発展を続けています。

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