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講義No.10113

可視化されればいいの? 取調べ自白映像が裁判員の心理に与える影響

取調べの可視化、問題点は?

 これまで多くの国で、密室での取調べで犯人と疑われた人がうその自白をした結果、冤罪(えんざい)が起きてきました。かつて多くの冤罪事件が明らかになったイギリスは、その反省から30年以上前に全事件の取調べ録音・録画を義務化しました。日本でも2019年取調べの可視化義務づけが始まりましたが、義務化の対象は裁判員裁判など特定の事件のみで、全体の3%程度という状況です。そして撮影された映像も、取調べ技法やカメラアングルによっては、それを見た裁判員の心理に大きな影響を与えることがわかってきました。

取調べ技法とカメラアングルが影響

 現在、世界的に有名な取調べ技法として、自白追求を目的とする「リードテクニック」と、正確で豊富な情報収集を目的とする「ピースモデル」があります。前者はアメリカで開発され、取調官は被疑者と対立姿勢をとり、自白へと追い詰めていきます。後者はイギリスで心理学の知見を導入して開発されました。被疑者に自由に語らせることを重視するこの取調べ技法は、現在、ヨーロッパなどに広まっています。
 日本では、被疑者を説得して自白させ、自白を「改心した証拠」だとする考え方がまだ根強く残っています。また、日本では被疑者を画面の中心にすえたカメラアングルで取調べを録画しますが、そうでない国もあります。実験では、日本式の取調べで得られた被疑者の供述に対する裁判員の信頼性が低くなる傾向があることが明らかになりました。

日本は冤罪が起きやすいシステム?

 もしあなたが事件に巻き込まれてしまったら、どんな取調べを望みますか? 日本では、無実の人が有罪になりやすい特徴をもった刑事司法システムの核として取調べが行われています。映像の持つインパクトの大きさや弁護士の取調べ立会い制度の立法化など、検討すべき点は多くあります。取調べ可視化時代を迎え、今後は法学者だけでなく、心理学者、言語学者などの知見も取り入れて研究に取り組んでいくことが必要です。


この学問が向いているかも 法学

関西学院大学
法学部 法律学科 教授
山田 直子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 あなたには、これまで当然だと感じてきたことを「本当に?」と一度立ち止まって自分に問い直してほしいと思います。疑問を持ち、批判精神を持ち、考え抜いて自分なりの答えを見つけることは学問をする上で大切です。「正解」はあなたが導き出すものなのです。ゼミでは、卒業論文を書く過程で、課題を発見し仮説を立てて議論・検証することで論理的思考力を養っていきます。大学という、自分とは違う意見に触れて議論ができる場所で、ぜひ一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私が法学の道に進んだのは、小さい頃から続けていた新聞記事のスクラップがきっかけです。法律等に関する記事を自然と集めていることに気づき、自分の興味・関心事が明確になりました。現在は、録画された取調べの様子を見た裁判員がどのように事実を認定していくのかを、心理学者や演劇関係者などとコラボして研究しています。誰をアップに撮影するのかといったカメラアングルや取調官の質問の仕方が、裁判員の心証形成に大きく影響することを明らかにしています。高校時代の演劇経験が現在の研究にもいかされています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

検察官/弁護士/警察官/裁判所書記官/検察事務官/少年院法務教官/国税専門官/地方公務員/銀行総合職/俳優/Webプロデューサー/IT情報サービスマネージメント

大学アイコン
山田 直子 先生がいらっしゃる
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 スクールモットーである"Mastery for Service"は、「奉仕のための練達」と訳され、隣人、社会、世界に仕えるため、自ら鍛えるという関西学院の人間として目指すべき姿を示しています。
 1889年にアメリカ人宣教師W.R.ランバスによって創立された関西学院は、このスクールモットーを体現する、創造的かつ有能な世界市民を育むことを使命とし、現在、関西学院の3つのキャンパスでは、約2万人の学生が個性あふれる11学部で学んでいます。

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