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講義No.10093

エアガンで人工地震を起こして海底下を調査

地震波を送って地下を探る

 地面の下の地層の構造は地震波を解析することで調査できます。しかし、自然に起きる地震を待っているわけにはいきません。そこで、人工的に地震波を送る方法が開発されました。地表から放たれた人工的な地震波は、地層の境界で反射します。反射して地表に戻った地震波の走時(到達時間)や波形を地震計がとらえ、それを分析することで、地下の物質の速度や密度などの状態を把握できるというものです。

エアガンの音波が地震波に

 海底の構造を調べるときも同じです。海底地層の調査船は地震波を発生させるエアガン震源と、反射した地震波を観測するストリーマ―ケーブルと呼ばれる測定機器の両方を船尾から曳きながら航行します。エアガンからは圧縮した空気を発射し、その衝撃が水中を音波として伝わります。音波は海底に到達すると地震波と呼ばれるようになり、異なる性質の地層の境界で反射し海底から再び水中に戻ります。戻ってきた水中の音波をストリーマーケーブル内の音響マイクが拾い、船上でデータ解析をします。大学が所有する調査船では、海底より2~3km下の地盤の調査が可能ですが、より大規模の海洋探査船となると、地殻の下のマントルまで達する20~30km下までを調査することができます。

二酸化炭素抑制の秘策

 海底の地下構造調査は海底断層の調査や油田などの鉱物探査に欠かせません。近年、二酸化炭素(CO2)の大気中への放出を抑制するためのCCS(二酸化炭素地中貯留)という手法に関心が高まっています。これは、化石燃料や地下水を長期間閉じ込めていた海底下の安定した地層にCO2を貯留するものです。海外においてはすでにたくさんのCO2地下貯留プロジェクトが実施されています。日本でも2019年から北海道の苫小牧(とまこまい)沖で実証試験が進められ、製油所の排出ガスを圧縮し、海底下3000メートルまでの地層に送り込んで封じ込めることに成功しました。こうしたCO2を貯留する地層を探す際にも、地震波を使った地下構造調査が役立っているのです。


この学問が向いているかも 海洋資源環境学

東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科 准教授
鶴我 佳代子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 地球科学はさまざまな事象が絡み合う総合的な学問です。そのため、高校で習う基礎的な範囲は、物理も化学も生物もすべて勉強してください。特に、地球を調査したり研究したりする地球物理学分野では物理が重要で、物理を考えるには数学も必要です。また地球の天然資源を知るには化学も生物も大切です。未だ人類が知らない領域である「真の地球」を知るため、大学で地球科学を深く追究したいのであれば、高校での地学以外の物理や数学などの基礎的な勉強をしっかりと身につけてきてください。

先生の学問へのきっかけ

 生まれ育った九州は火山が多く、子どもの頃は阿蘇山や雲仙岳を見に行っていました。静かな火山もいつかは噴火するかもしれないとテレビで知り、子どもながらに噴火を予知しなければいけないという使命に燃えたのです。実際に地下を掘って地底をのぞきに行くアニメを見て、こういうことができたら噴火予知ができるのではないかと考えていました。私が大学の地球科学科に入学した頃は、まだ地下をモニタリングするための良い方法がありませんでしたが、人工地波を使う手法が確立され、現在では海底の下も調べられるようになりつつあります。

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鶴我 佳代子 先生がいらっしゃる
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 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

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