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講義No.10090

地球中に広がる海中「マイクロプラスチック」、検出困難な粒子を探れ!

海中の粒子「マイクロプラスチック」

 海の環境は光に支配されており、光の分布を左右するのが濁りです。濁りの原因は粒子であり、そのひとつとして「マイクロプラスチック」が挙げられます。マイクロプラスチックはもともと海になかった粒子なので、その挙動や生物への影響も未知数です。例えば発がん性のある難分解性有機汚染物質が付着すると、マイクロプラスチックをのみ込んだ生物に悪影響を及ぼすかもしれません。いずれ人間にも影響が出る可能性があるので、調査や対策が求められています。

マイクロプラスチックは回収困難

 マイクロプラスチックはとても小さな粒子(5mm以下)で、沿岸はもちろん、太平洋の真ん中や南極・北極といった人の影響の少ない海域にも分布しています。そのため、一度海に広がったマイクロプラスチックを回収することは不可能です。プラスチックの使用量を減らして、正しく処理して、できるだけ海域へ出ないようにしなければなりません。現在、世界中の研究者が海域のマイクロプラスチックの分布調査を行っています。しかし、従来の調査では、350マイクロメートルの小さな網目のネットで海面をすくっていました。そこに集まった様々な粒子の中からプラスチックをより分けて分析しており、非常に時間がかかりました。また、網目より小さなマイクロプラスチックの回収は困難でした。現在、より細かなマイクロプラスチックの採取法、分析法を研究しています。

分析をより簡単に

 回収したマイクロプラスチックの種類を分析するとき、プラスチックらしき粒子の一粒ずつを赤外分光器で計っています。また微細なマイクロプラスチックの測定には、顕微鏡付きの赤外分光器が必要になります。海水中にはマイクロプラスチック以外のさまざまな粒子が存在します。今までの手法ではプラスチック計測を妨げる粒子を取り除く過程が不可欠で、膨大な労力と時間を要しています。今後、水中のマイクロプラスチックを直接測定する手法の開発が求められています。


この学問が向いているかも 海洋資源環境学部

東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋環境科学科 教授
荒川 久幸 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 受験では化学、物理、生物や地学など科目が分かれていますが、環境分野の実際の研究では各科目の境界にある知識も必要になります。勉強するときは1つの科目だけに絞るのではなく、広い視野を持ってさまざまなものに興味を持ってください。
 また、海の中はまだまだわからないことだらけで、研究すべきこともたくさんあります。あなたのようにアイデアを持った若い方が参加してくれれば、よりよい結果に近づけるのではないかと期待しています。漠然とでもいいので、「海が好き」と思っているなら、ぜひ研究室に来てほしいです。

先生の学問へのきっかけ

 私は北九州市の小倉出身で、幼いころから海を身近に感じていました。大学では海洋環境工学を学び、海中の光を研究している教授に出会いました。その教授の授業を聞いているうちに光の重要性を実感したため、研究テーマとして取り組んでいます。海中の光の分布は水の濁りと密接な関係にあるため、濁りについても研究するようになりました。水の濁りは粒子によって発生します。また海中の粒子は海洋の生物へ様々な悪影響を及ぼします。最近では海中粒子の一つであるマイクロプラスチックの検出方法や生物に及ぼす影響をテーマにしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

研究員/官公庁水産、技術/環境調査

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荒川 久幸 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

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