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講義No.10054

無機物から有機物を作る植物の能力を高める

無機物から有機物を作り出す植物

 植物には、無機物を代謝によって有機物に変える作用があります。これを「同化」といいます。太陽光と水と二酸化炭素から糖を作り出す光合成はその代表ですが、それ以外にもさまざまな無機物が有機物へと変換されます。この過程で生み出される有機物は、植物が成長するために使われるだけでなく、人間や動物の栄養補給、医薬品や農薬の開発にも役立っています。

イオウから作られるアミノ酸

 例えば、イオウという元素は、硫酸イオンの形で土壌の水に溶けていて、植物にはそれを選択的に吸収する仕組みがあります。取り込まれた硫酸イオンは還元反応を経て、システインというアミノ酸になります。これは植物内でできる最初の含イオウ有機物です。ここからさらにメチオニンという必須アミノ酸が作られます。これは、人間が自ら作り出すことができない重要な栄養素です。システインからは、グルタチオンやグルコシノレートというアミノ酸も作られます。これらは、薬や栄養補助食品としても利用されます。グルコシノレートには、病害虫を寄せ付けない働きがありますが、人間にとっては発がん抑制物質です。同じように作られるアリシンも虫を寄せ付けない機能がありますが、人間にとっては免疫活性化物質です。

アミノ酸生成を全体として制御しているのは?

 植物には、このように外から無機物を取り込む段階と、そこからアミノ酸を生成する段階があります。そこで、いかに取り込むか、どのようにアミノ酸を生成するかを明らかにして、それらを制御する仕組みがわかれば、遺伝子の組み換えなどによって人間に有用な植物に改変することが可能です。最近の研究では、イオウが少ないと硫酸イオンの取り込みやアミノ酸の合成が増し、一方でグルコシノレートなどの有用化合物の合成が減ることがわかってきました。そこで注目されるのは、全体を制御する情報伝達因子です。全体として同化能力を高めるとともに有用化合物量を維持する技術とそのための基礎研究が重要なのです。

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この学問が向いているかも 植物栄養学

九州大学
農学部 応用生物科学コース 准教授
丸山 明子 先生

メッセージ

 大学で行う研究では、今わかっていないことがどうやったらわかるか、自分の手でそれを解決していきます。つまり、問題の解決法や自分の興味を具現化する手法を学ぶことになります。時代の変化に応じて求められる知識や職業は変わっていき、自分の興味も変わるはずです。あまり遠い将来を見過ぎず、日頃感じている興味を大事にして進路選択をしてください。目の前のことに真剣に取り組めば、大きな実力がつくだけでなく、いい出会いもたくさんあります。それを繰り返すことで、新たな興味ややりたいことも見えてくるでしょう。

先生の学問へのきっかけ

 小さい頃から食べるのが好きで、植物はなぜ甘い味を作ることができるのかといった植物内部のメカニズムにも興味がありました。
 人間は植物を栄養源としていますが、植物は薬や農薬などの原料としても利用されています。そのなかで私の研究対象であるイオウは重要な役割を果たしていて、植物がイオウを取り込み、いかにアミノ酸やタンパク質、イオウを含む有用な化合物などに変化させるか、またそれぞれの合成量が環境条件によっていかに変化し、その変化のためにはどのような遺伝子・タンパク質が働くのか、ということを研究しています。

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丸山 明子 先生がいらっしゃる
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 九州大学は、教育においては、世界の人々から支持される高等教育を推進し、広く世界において指導的な役割を果たし活躍する人材を輩出し、世界の発展に貢献することを目指しています。また、研究においては、人類が長きにわたって遂行してきた真理探求とそこに結実した人間的叡知を尊び、これを将来に伝えていきます。さらに、諸々の学問における伝統を基盤として新しい展望を開き、世界に誇り得る先進的な知的成果を産み出してゆくことを自らの使命として定めています。

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