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講義No.10051

最も低い音を出す太鼓の形は? 数学で考える身近な問題

微分や積分の可能性

 高校でも習う微分や積分は、数学における解析学という分野の基礎です。変化を記述するために使うのが微分、量を記述するときに使うのが積分です。そのため、微分積分を応用すれば自然現象や生命現象などを説明することもできます。例えば、一番低い音を出す太鼓はどのような形か、という問いも計算によって解を導き出すことが可能です。

低い音を出す太鼓の条件とは

 太鼓は、基準となる音が重なりあうことによって耳に届きます。人間の耳は低い音が聞こえやすく、高すぎる音は聞こえません。そこで一番低い太鼓の音を固有値と定めて、その音を出すために最適な太鼓の形を考えます。一般的な太鼓は丸い形をしていますが、数学では三角形や四角形など、さまざまな形の太鼓から出る音について考えることができます。振動を記述する式を用いて、固有値が最も小さくなるように計算していくと、低い音を出す太鼓の形を導き出せます。この問題は1920年代にも考えられていて、円形の太鼓が最も低い音を出す、という結論が出ています。しかしこの時点では、皮に材質が均一な膜を使用する、という設定で計算されていました。

膜の貼り合わせ方で音は変わる

 そこで2000年代に、太鼓の形を固定した上で、膜の材質や貼り合わせ方を変えた場合、最も低い音になる太鼓はどのようなものか、という思考実験がなされました。AとBという2種類の膜があり、それぞれ密度が異なるとします。Aの膜とBの膜の比率を一定としてありとあらゆる貼り合わせ方の中で、最も低い音を出す膜の貼り合わせ方(最適解)を見つけていきます。すると、楕円(だえん)形の場合は中心に固めるように膜を貼る、四角形の場合は密度の高い膜を軸対称になるように貼る、などの結論が導かれました。膜の貼り合わせ方は無限にあるため、計算はかなり複雑になります。しかし実際に太鼓を鳴らして考えるのではなく、計算だけで答えを出すことができる、つまり、数式でシミュレーションができるのも数学の面白さだといえます。

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この学問が向いているかも 数学

首都大学東京
理学部 数理科学科 教授
倉田 和浩 先生

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メッセージ

 高校で数学を学んでいると、「この先も数学を学び続けた場合、なにを得ることができるのか」という疑問を持つでしょう。しかし高校で学ぶ数学は、たとえ数学者にならないとしても、あなたの将来の土台となります。まずは基礎をしっかり身につけ、正確な計算ができるようになってください。
 わからない問題があるときはすぐに答えを見るのではなく、なぜそのような解き方になるのかを考えると、成長のきっかけになります。疑問が解けて「そうか!」と納得する体験を積み重ねると、数学がより面白くなるはずです。

先生の学問へのきっかけ

 数学が好きだったので、漠然と将来は数学の道に進もうと考えていました。ただ、高校生の頃は数学の問題をただがむしゃらに解いており、ひとつの問題を熟考するということは予備校で初めて経験しました。問題や公式の意味を考えるという視点を知り、地に足がついたような気持ちになりました。大学に入ってからも研究の道に進むことができるかどうか不安に思っていましたが、少しずつ問題に向き合って成功体験を積み重ねていくことで手ごたえを感じていきました。数学の面白みを感じながら、日々研究をしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学機関などの研究者、小・中・高教員、IT企業など

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倉田 和浩 先生がいらっしゃる
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 東京都立大学(現首都大学東京)は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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