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講義No.10050

動物の模様は数式で表すことができる! 生命現象を数学で説明する

数字以外も数式で表すことができる?

 細胞分裂や、微生物の形態形成といった生命現象も「数式」で記述することができます。パターン形成といって、動物の模様などの興味深い事例を数学的に解析することも可能です。例えば、シマウマのしま模様やヒョウの斑点(はんてん)模様といったパターンはどのように決まるのか、という疑問は微分を用いた方程式で説明することができるという考え方があります。これは1952年にチューリングという研究者が書いた生物数学の論文に由来します。

動物の模様を説明するチューリング・パターン

 インクを垂らすと周囲に広がっていくように、物質の中には一部に偏って存在するのではなく空間全体を均一にしようと「拡散」するものがあります。一方で、2つの化学物質をまぜたときに、お互いが増やしたり抑制したりしてバランスを保とうとする、「相互作用」という現象も存在します。こうした拡散と相互作用という2つの効果によって、動物の体表にあるような模様が生まれると考えられています。特に、チューリングは2つの化学物質の拡散速度の違いを指摘し、相互作用の効果とあわせると、斑点のような一見すると安定していない状態が定着しうる、と説いたのです。

微分方程式で動物の模様を解析する

 例えば化学物質Aを黒い色素だと仮定します。この濃度が高いところは黒くなり、低いところは白くなります。もうひとつ、化学物質Bが存在し、これが化学物質Aの増加を邪魔するとします。化学物質Bの濃度が高いところには化学物質Aが拡散していくことができません。さらに、化学物質Bの拡散が速いと、化学物質Aの分布範囲がせまくなっていきます。そして各物質が密集している部分で活性化すると、模様ができあがります。こうした状況は微分方程式で証明でき、グラフにすることも可能です。高校で習っているようなきれいな曲線のグラフではなく、ぐにゃぐにゃとした形になるため、数学の世界では「非線形現象」と呼ばれています。

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この学問が向いているかも 数学

首都大学東京
理学部 数理科学科 教授
倉田 和浩 先生

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メッセージ

 高校で数学を学んでいると、「この先も数学を学び続けた場合、なにを得ることができるのか」という疑問を持つでしょう。しかし高校で学ぶ数学は、たとえ数学者にならないとしても、あなたの将来の土台となります。まずは基礎をしっかり身につけ、正確な計算ができるようになってください。
 わからない問題があるときはすぐに答えを見るのではなく、なぜそのような解き方になるのかを考えると、成長のきっかけになります。疑問が解けて「そうか!」と納得する体験を積み重ねると、数学がより面白くなるはずです。

先生の学問へのきっかけ

 数学が好きだったので、漠然と将来は数学の道に進もうと考えていました。ただ、高校生の頃は数学の問題をただがむしゃらに解いており、ひとつの問題を熟考するということは予備校で初めて経験しました。問題や公式の意味を考えるという視点を知り、地に足がついたような気持ちになりました。大学に入ってからも研究の道に進むことができるかどうか不安に思っていましたが、少しずつ問題に向き合って成功体験を積み重ねていくことで手ごたえを感じていきました。数学の面白みを感じながら、日々研究をしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学機関などの研究者、小・中・高教員、IT企業など

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倉田 和浩 先生がいらっしゃる
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 東京都立大学(現首都大学東京)は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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