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講義No.10043

昆虫の社会から、「人間とは何か」を探る!

シロアリの社会にも農業や法律がある?

 昆虫の種数は100万種を超え、全生物種の3分の2を占めています。その中でも最も繁栄しているのが、アリやハチ、シロアリなどの社会性昆虫と呼ばれるグループです。地球上のアリをすべて足すと1京匹、シロアリは24京匹になるという推定もあります。
 昆虫の社会にもさまざまな対立や、それを解決するための法律や罰則があります。巣の防衛のために軍隊を有し、農業を行い、抗菌物質を用いて公衆衛生を維持します。我々の社会とは起源も構造も異なる昆虫たちの社会、その「不思議の国」からたくさんの知恵を読み取ることができます。

人間の社会とシロアリの社会はここが違う

 シロアリの社会は人間の社会とよく似ていますが、大きな違いもあります。シロアリの社会は家族社会なので、助け合うのは血縁者同士です。働きアリや兵隊は自分自身の繁殖を犠牲にして仲間のために働きますが、それは遺伝子を共有する血縁者を助けることによって、間接的に自分の遺伝子を次世代に残すよう進化してきたからです。一方、人間の社会における助け合いが、血縁者間だけのものでないことは言うまでもありません。ではなぜ人間の社会では血縁者でなくても助け合うのでしょうか? 人間の行動は、より自分の遺伝子を次世代に残すためだけに進化してきたのでしょうか? 昆虫の社会を知ることは、人間の社会の本質を知ることにもつながってきます。

「悩める生き物」人間はどこへ向かうのか

 ミームとは、後天的に言葉や文字などから得た文化的な情報のことです。これがあるから人間は、本能的な欲求と後天的に得た知恵や思想などの間で葛藤し、どう生きていくかを模索するのです。シロアリの行動は、遺伝子のみに規定されているため、ある状況でどのように行動すべきか、答えは一つに決まります。一方、ジーン(遺伝子)とミームという異なる情報伝達をもった人間は、その狭間で常に迷いながら選択しています。人間という生き物を知るためにも、昆虫の社会を研究することは非常に意義深いと言えるのです。

昆虫の社会を知りつくす

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この学問が向いているかも 昆虫学、生態学、動物行動学

京都大学
農学部 資源生物科学科 教授
松浦 健二 先生

メッセージ

 私はシロアリをはじめとした「社会性昆虫」の研究をしています。それは昆虫の研究を通し「人間とは何か」という問いへの答えを探りたいと考えているからです。あなたは今、高校で「答えのある知識」を身につけている最中でしょう。しかし大学では、答えのない問いを自分で見つけ、探究することが求められます。この一連の行動こそが「学問」です。
 京都大学は「自学自習」の理念を大切にしており、研究室間の連携も活発です。研究分野を超え、この世界を取り巻く疑問について考えたければ、ぜひ一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私はシロアリやハチなどの「社会性昆虫」について研究しています。小学生の頃、シロアリの巣を見て、「ここにもう一つの世界がある」と感じたことが、昆虫の社会を研究するきっかけでした。よく観察して分析や実験を重ねると、彼らにも言葉があり、法律があり、軍隊や医療、農業まであることが見えてきます。そして彼らの進化の歴史から、社会生活を営む生物に共通する進化の法則性までもが明らかになってくるのです。昆虫を研究材料に「この世界とは何か」を探っています。

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松浦 健二 先生がいらっしゃる
京都大学に関心を持ったら

 京都大学は、創立以来築いてきた自由の学風を継承し、発展させつつ、多元的な課題の解決に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献するため、自由と調和を基礎にして基本理念を定めています。研究面では、研究の自由と自主を基礎に、高い倫理性を備えた研究活動により、世界的に卓越した知の創造を行います。教育面では、多様かつ調和のとれた教育体系のもと、対話を根幹として自学自習を促し、教養が豊かで人間性が高く責任を重んじ、地球社会の調和ある共存に寄与する、優れた研究者と高度の専門能力をもつ人材を育成します。

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