環境毒性学、環境科学
愛媛大学
理学部 理学科 生物学コース 教授
岩田 久人 先生
先生の著書

環境や野生動物について研究する学問といえば、生態学や獣医学などが代表的ですが、私が取り組む「環境毒性学」もその一つです。野生動物は、人間が作り出した化学物質で被害を受けても、それを訴えることはできません。
生物や化学の知識を基に生命科学について学び、化学物質の生体への影響やリスクについて研究することで野生動物の被害を代弁することが、環境毒性学の研究者の大きな役割です。ぜひ環境毒性学の調査・研究の重要性と醍醐味について知ってください。野生動物を守るためにできることを、一緒に考えてみませんか。

私が環境毒性学に興味を抱いたのは、大学生だった1980年代の半ばです。当時は、ベトナム戦争で米軍が使用した枯葉剤の影響で、奇形の赤ちゃんが生まれたことが世界的に問題になっており、人間が作り出した化学物質が環境や野生動物に与える影響を解明したいと思いました。その後、環境中の化学物質と野生動物の遺伝子の関係を研究するうちに、海洋生態系の上位にいる海鳥やアザラシ・クジラに化学物質の影響が現れやすいことがわかりました。それ以来、さまざまな野生動物を対象に、化学物質のリスクについて研究を続けています。

大学教員/国・地方自治体研究所研究員/官公庁行政職/中学・高校教員/民間企業研究員