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講義No.10034

比較・対比で見えてくる芸術作品・文化事象の生成・伝播・変容

比較文学・比較文化とは?

 比較文学・比較文化の「比較」は研究方法を表します。複数の国や地域の文学、マンガ、音楽、科学など、さまざまな芸術分野や文化事象を「比較」「対比」しながら、それらの特徴をとらえます。フランス語文学のゴーチエの作品が、日本語文学の芥川龍之介の作品にどのような「影響」を与えたのか、また、芥川がゴーチエから何を「受容」したのかについて研究したり、影響・受容関係がなさそうな複数地域の作品同士を対比させ、文化論的に研究したりします。

ファム・ファタル(宿命の女)

 複数の地域に伝播した芸術潮流の相互交流も研究対象です。19世紀末には、モローやクリムトなどが、男性を虜にし破滅へと導くファム・ファタルを題材とした作品を発表します。ワイルドの『サロメ』やビアズリーが描いた挿絵も、この潮流の中で作られた作品です。また、19世紀には欧米でジャポニスムという芸術潮流が流行していました。ビアズリーの『サロメ』の挿絵にも浮世絵の影響が伺えます。このビアズリーの挿絵に影響を受けたのが水島爾保布(におう)で、彼は谷崎潤一郎の『人形の嘆き』に挿絵を描いています。これらのことを踏まえて、谷崎の『人形の嘆き』を研究することもできます。

ゴーチエ、ハーン、芥川―『死霊の恋』の変容

 日本近代作家には、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の英語翻訳を介して、フランス文学に触れた者がいます。ゴーチエがフランス語で発表した『La Morte amoureuse(死霊の恋)』を、ハーンは英語に翻訳し(『Clarimonde』)、芥川はハーンの英語翻訳を翻訳して『クラリモンド』を発表します。ゴーチエやハーンの翻訳での「胸が剣で貫かれている悲しみの聖母」が、芥川の翻訳では「男の胸を剣で貫く」ファム・ファタルのように表されています。その後、芥川は『死霊の恋』によく似た『天狗』を発表します。ゴーチエの原作、ハーンの翻訳、芥川の翻訳を比較することによって、三者それぞれの特徴がはっきりと見えてきます。


この学問が向いているかも 比較文学、比較文化

山口大学
国際総合科学部 国際総合科学科 准教授
藤原 まみ 先生

先生の著書
先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校時代には、「これをやって何か意味があるのか」ということは気にせずに、興味のおもむくまま、あるいは興味がなくても、目の前にあることをやり続けていると自分の間口を広げることにつながります。そして、きっと人生を送るうえで貴重な経験にもなります。
 一見して関心や興味がないものでも、偶然の出会いを楽しんでみましょう。目標を立てて進むのもいいですが、流されて進むのも悪くないと思います。その道草の過程に、学問との出会いはあるのかもしれません。

先生の学問へのきっかけ

 小学生のとき、長い通学路の途中で虫や花など、目に付いたものはなんでも収集していました。今でも、なんとなく気になる資料や情報を収集しています。
 高校時代は太宰治が好きで、大学で研究しようと思い立ちますが、太宰の作品には日本文学だけでなく、フランス文学など外国文学のこともでてくるので、どの学科を選べばいいのか迷っていました。ある時、たまたま目にした大学パンフレットの、「比較文学は世界の文学と日本の文学を勉強します」というざっくりとした説明に一目惚れして、迷わずその大学を受験しました。

大学アイコン
藤原 まみ 先生がいらっしゃる
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 山口大学は「発見し・はぐくみ・かたちにする 知の広場」を理念に、9学部からなる総合大学です。英語の苦手な人も得意になれる! 山口大学のTOEICを活用した英語教育はすっかり定着しました。また、学生だからこそ考えつくアイデアに、資金を提供するプログラムとして「おもしろプロジェクト」があります。これら山口大学の個性的な取り組みにぜひご注目ください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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