夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

講義No.10032

幸せな社会を実現する「流通」のあり方を考える

生産と消費を再結合する「流通」

 「流通」という言葉を聞くと、モノが運ばれる「物流」をイメージする人が多いかもしれません。しかし流通とは、単なるモノの移動だけではなく、社会のさまざまなつながりを示します。例えばある人が作ったものが、ほかの人のものになる所有権の移転、あるいは金銭などの商的な取引、またそれにまつわる政策など、流通にはそういったさまざまな社会構造が含まれます。そこで、生産と消費を再結合する過程と社会構造を俯瞰(ふかん)的に検証し、幸せな社会に貢献する流通のあり方が研究されています。

流通が抱える問題の解消に向けて

 流通を支える構造には、さまざまな問題が存在します。例えば農家は、作物を生産することで人々の生活や生命までをも支えています。一方でその収入は不安定で、天候や災害などの影響に苦しむ農家は少なくありません。
 また小売業でも、24時間営業を掲げるコンビニエンス・ストアオーナーの長時間労働問題など、流通のあちこちで「誰かの欲求を満たすために、誰かが無理をせざるを得ない」構造が散見されます。流通の研究では、そういった不公平を解消し、誰もが幸せに暮らせる社会の実現が最終的な目標とされています。

商品の背景にある社会構造に目を向ける

 流通における問題に目を向けると、中間商人がいなければもっと商品が安くなるのではという考えから、「中間商人は悪」といった表面的な批判を目にすることがあります。商品を売る人がいなければ、生産物が消費者に届けられることはなく、結果的に生産者も収入を得ることができません。またコンビニの24時間営業についても、「24時間営業が悪い」という短絡的な考えではなく、同じ商圏にある店舗が、効率よく運営を続けられるような仕組みを考えることが必要です。
 問題を解決するには、生産から販売までを支える政策や法律、金融制度や運営上の仕組みといったインフラを整え、「誰かが得をすることで、誰かが損をする」ことのない流通構造を考えていく必要があるのです。

アイコン

講義を視聴する(1分)

アイコン

講義を視聴する(1分 その2)

アイコン

講義を視聴する(1分 その3)

アイコン

講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 食料流通学、農業経済学

広島修道大学
商学部 商学科 教授
矢野 泉 先生

先生の著書
メッセージ

 私があなたに伝えたいのは、「自分をとりまく社会のいろいろなことに、疑問を持ってほしい」ということです。例えばコンビニエンス・ストアでの買い物でも、単にお金を払ってものを買うだけではなく、「社会にとって自分がこれを買うことはいいことなのかどうか」を考える習慣をつけましょう。
 疑問は「見つかるもの」ではなく、「見つけるもの」です。疑問を見つけたら、調べて自分の目で真偽を確かめてみましょう。疑問の背景には必ず制度や仕組みの違いがあり、疑問を持つことで社会の構造をより深く知ることができるようになります。

先生の学問へのきっかけ

 私は、高校時代にオーストラリアに留学しました。当時はまだ西洋のアジアに対する差別はあからさまで、「なぜアジア人は西洋人と比べて下に見られるのだろう?」と疑問を持ちました。その経験をきっかけに、経済格差や、アジア経済を支える農業へと関心が広がっていったのです。現在はすべての人が安全でおいしい食べ物を苦労なく得られる社会を作りたいという思いを、「社会をよくする流通のあり方」へと広げ、流通に関する社会構造全般を研究しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品関連雑誌編集/食品卸売会社営業/家電メーカー総合職/生命保険会社営業/エネルギー関連総合職/アパレルメーカー販売/自動車メーカー秘書

大学アイコン
矢野 泉 先生がいらっしゃる
広島修道大学に関心を持ったら

 「個」を育み、伸ばす。それは、約290年前、本学の前身・浅野藩の藩校「講学所」の時代から受け継がれる教育理念です。
 広島修道大学では平成22年度「大学生の就業力育成支援事業」に選定されるなど、学部での学びはもちろんのこと、学生一人ひとりの自己実現をバックアップするさまざまな取り組みを行っています。
 合い言葉は「すべてを学びのもとに」。教職員が一体となってあなたの可能性を応援します。

TOPへもどる