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講義No.10017

微生物の力で、新たな「スーパー機能性食品」が生まれる

捨てられる青果を「機能性食品」に

 サイズや形が規格外という理由で、膨大な量の野菜や果物が廃棄されています。例えば熊本県では、生産量日本一のトマトをはじめ多種多様な青果が生産されていますが、収穫量の40%ほどが廃棄されているそうです。また無事に出荷されても、加工・調理の段階で、体によい成分を含んだ果物の皮や野菜の茎などが大量に廃棄されます。
 そこで、それら廃棄される青果を微生物の力でつくりかえ、健康によい成分や植物本来の甘み・香りを残しつつ、腸内の善玉菌の栄養源にもなる、画期的な機能性食品材料の研究が進められています。

体によい天然色素も

 微生物の力で、植物性色素「アントシアニン」を自由につくりかえる研究も進んでいます。ブルーベリーをはじめさまざまな植物に含まれているアントシアニンには、生活習慣病を予防したり、がん細胞の増殖を抑えたりする働きがあるといわれています。そのため、サプリメントや薬品の原料として注目されているのですが、栽培した植物から色素を抽出・精製するのに手間がかかり、さらに、植物の栽培は天候などの影響を受けやすいのが難点です。そこで、簡単な構造である「黒米」由来のアントシアニンをベースに、さまざまな微生物と反応させることにより、食品着色用の発酵色素を自由につくる研究が進められています。

音を聞かせて「スーパー麹菌」を生み出す

 味噌や醤油、甘酒などをつくる際に欠かせない「麹(こうじ)菌」は、音波によって「変身」するという面白い特性を持つことが発見されました。麹菌がデンプンやタンパク質を分解するときには、いろいろな酵素を生産・分泌するのですが、一定の音波を当て続けると、簡単に酵素の生産・分泌をコントロールできるのです。
 聞かせる音波(周波数)によっていろいろなタイプの麹菌をつくり出せるので、研究が進めば、「血圧上昇を抑える味噌」や「美肌効果を高める甘酒」といった商品がつくれるようになるかもしれません。


微生物を利用した機能性食品素材の開発

この学問が向いているかも 応用微生物学、微生物利用学

崇城大学
生物生命学部 応用微生物工学科 教授
三枝 敬明 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 身近な発酵食品はもちろん、医薬品や環境保全など、いろいろな場面で微生物の力が活用されています。とはいえ、人類は微生物の力のごく一部しか理解しておらず、研究が進めば、誰も想像もできなかったようなすごいことができるかもしれません。
 そのため応用微生物工学の研究は、常識にとらわれない自由な発想力と、「こんなことができたら面白そう」と感じたことを、失敗を繰り返しながらも実現させる熱意が必要です。「オンリーワン」の研究をしたいと思っているなら、最高の学問分野と言えます。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から動物好きで、将来は獣医師になるのが夢でした。ところが2年連続で大学受験に失敗し「生き物つながり」で生物生命学部へ進学しました。それまで微生物には全く関心がなかったのですが、目に見えない小さな生き物が発酵食品や医薬品など、いろいろなものをつくり出していることを知って感激しました。勉強を続けるうちに、まだ誰も知らない微生物の力を発見したいと強く思うようになり、そのまま研究の道へ進みました。地球上から微生物がいなくなったら、動物も植物も生きていけないでしょう。それほど大きな存在なのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品会社・研究開発/製薬会社・研究/環境関連会社・研究/官公庁・研究

大学アイコン
三枝 敬明 先生がいらっしゃる
崇城大学に関心を持ったら

 崇城(そうじょう)大学は薬学、生物生命、工学、情報、芸術の5学部からなる総合大学です。“世界で活躍できるプロフェッショナルの育成”を目指し、最先端の施設・設備・研究を備え、学生一人ひとりを厳しく育てる実践的な教育プログラムにより、高い就職率や国家資格合格率を維持しています。理系私立大学では全国初の英語を公用語とする学習施設「SILC(シルク)」があり、英語ネイティブ講師による英語教育が成果を上げています。本学の地である熊本から産業界の未来を切り拓く若者を輩出する学舎でありたいと決意しています。

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