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講義No.10010

移民排斥が進む中で、異なる文化的背景を持つ人々と共存するには

ヨーロッパにおける多文化社会の実像への着目

 移民国家として誕生したアメリカやオーストラリアとは異なり、ヨーロッパは第二次世界大戦後に多くの移民や難民を受け入れ、多文化社会を迎えました。移民や難民の中には多くのムスリム(イスラーム教徒)も含まれていました。ムスリム移民の定住化に伴い、現在では彼ら・彼女らの多くがヨーロッパで生まれ育った移民第二世代・第三世代です。ヨーロッパのムスリム人口は1800万~2000万人近くに上るという推計もあり、今後、さらに増加することが見込まれています。ヨーロッパ各国の政治家やスポーツ代表選手として活躍しているムスリム第二世代・第三世代も多くいます。

移民排斥の動きとイスラームフォビア

 しかしながら、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以降、ヨーロッパでも移民排斥を標榜するポピュリズム政党が各地で躍進して、イスラーム文化を拒絶する人や、ムスリムの信仰実践を禁じることを支持する人が増えています。モスクやイスラーム学校に対する放火や嫌がらせなども相次いでいます。このような行為は、イスラームフォビア(イスラーム嫌悪)によって引き起こされています。こうした宗教的・民族的「他者」を排除する感情が人びとの間に生じるプロセスを明らかにし、社会の文化的・宗教的多様性を踏まえた教育の方途を模索することは、多文化社会の重要な課題の一つです。

セクシュアリティ教育を通じて共存の課題を考える

 具体的な例として、セクシュアリティ教育というテーマを通じて異なる文化的背景を持つ人々との共存の課題を考える研究プロジェクトを紹介します。このプロジェクトでは、セクシュアリティ教育のもつ世俗的かつ科学的な性格を多文化的文脈の中で批判的に捉え直し、文化や宗教によって異なるセクシュアリティ観を認めながら、多様なセクシュアリティ教育のカリキュラムを構築することを目的としています。教育政策というマクロな視点と移民コミュニティというミクロな視点との間の往復を通じて遂行する刺激的な研究です。


この学問が向いているかも 教育社会学、子ども社会学

長崎大学
多文化社会学部 多文化社会学科 准教授
見原 礼子 先生

メッセージ

 長崎大学多文化社会学部では、社会学、人類学、法学、政治学、言語学など、さまざまな専門分野を通じて、多文化社会の課題について学んでいきます。教員の研究のフィールドは、アジア、アフリカ、中東、そして日本など世界各地にわたっています。ゼミや授業の一環で、教員が学生と一緒にこれらの地域に赴きフィールド調査を行うこともあります。あなたも、異なる文化、言語、宗教を持つ人々や社会とどのように向き合っていくのか、共に生きていくのかということについて、ぜひ一緒に考え、学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 多文化共生の課題について考えるようになったのは、学部時代のオランダ留学がきっかけです。ムスリム移民第二世代の友人たちが、オランダは自由な国だけどオランダ人と心地よい関係は築けていないと言っていたことが気になりました。そのことを深く考えてみたいと大学院に進み、フィールド調査のためヨーロッパに滞在していた時に、アメリカで9.11のテロが起きました。その直後、ヨーロッパ諸国でモスクやイスラーム学校が放火される事件に遭遇し、この問題の根深さを感じたことから、本格的に研究を続けたいと思うようになりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

私立学校職員/航空会社(キャビンアテンダント)/印刷機械製造業/総合商社/婚礼サービス業/銀行など

大学アイコン
見原 礼子 先生がいらっしゃる
長崎大学に関心を持ったら

 長崎大学は、出島を介した『勉学の地』としての誇りと『進取の精神』を受け継ぐとともに、宗教や科学における非人道的な負の遺産にも学び、人々が『平和』に共存する世界を実現するという積極的な意志の下に教育・研究を行います。そして、蓄積された『知』を時代や価値観を越えて継承し、人類を愛する豊かな心を育て、未来を拓く新しい科学を創造することによって、地域と国際社会の平和的発展に貢献します。

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