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講義No.10009

医学の進歩に欠かせない「医用工学技術」とは?

計測から治療へと発展する医用工学技術

 医学の進歩には、さまざまな工学技術が生かされてきました。例えば、心電図の原理は約120年前に開発され、長年医療現場で利用されています。さらにコンピュータの発達にともない、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(核磁気共鳴画像)など、医療用の計測機器が開発されてきました。
 また、近年、治療機器もめざましい発展を遂げています。内視鏡手術を遠隔操作で行う手術支援ロボットもその一つです。こうした技術開発を支える学問分野が、医用工学、医用メカトロニクスと呼ばれるものです。

機械と生体組織を接着する技術

 工学技術の医療への応用例として、生体組織を接着する技術があります。人工心臓などの機械を人体に埋め込む際に、人体の組織と金属を離れないように接続するのは難しいことです。一つの方法として生体組織を熱して接着する技術があります。料理で、熱した鉄板に肉が貼りついてしまうことがあるように、人間の組織に含まれるコラーゲンが熱によりゲル化し、冷えると固まる、という現象を応用したものです。高温で熱することで、その箇所の細胞はいったん死んでしまいますが、細胞が住んでいる組織構造(部屋のようなもの)はそのまま残ります。回復するとその部屋に再び細胞が入り込み、組織がよみがえります。この方法は組織同士の接着にも使え、針と糸でつなぐよりも、早く接着でき、回復も早いことがわかっています。

医用工学技術の課題

 治療機器を開発するにあたっては、いくつかの課題があります。まず、人間の生命に関わる技術なので、安全性を担保しなければなりません。また、私たちの体は熱に弱いので、体内に埋め込む人工心臓のような機器の場合、熱を発生しにくい構造にする必要があります。機器が熱を発生することは、仕事に使われない無駄なエネルギーが熱となって漏れているということです。電気エネルギーを無駄なく運動エネルギーに変換する、熱が発生しない、効率の良いシステムを作ることも、医用工学技術の課題の一つです。

医療を支える工学技術:医用メカトロニクス

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「医用メカトロニクス」とは?

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手術に役立つ技術の研究

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人工心臓の開発

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この学問が向いているかも 医用工学

茨城大学
工学部 機械システム工学科 教授
増澤 徹 先生

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メッセージ

 これから大学に進んで勉強するにあたって、「何が大事か」を考えるとしたら、「自ら考える力」だと言えます。それは、与えられた情報をうのみにせず、自分で考えて判断する力です。常に物事をよく見て、自分で考えるという習慣をつけるようにしましょう。
 そこからさらに、「物事を理解する」ためには、幅広い知識と論理的な思考が役に立ちますが、それには高校での学びがとても重要です。どの分野もおろそかにせず、まんべんなく勉強して基本的な知識を身につけましょう。

先生の学問へのきっかけ

 大学の卒業研究で、医用工学をテーマとしたことと、その後、制御工学や電気・電子工学を学んだことがきっかけで、その知識が生かせる人工心臓の開発に携わるようになりました。自動車でも工場でも工学の仕事は、人の生活の向上のために使われている「生活としてのライフサポート」ですが、医用工学は「生命も支えるライフサポート」で、それがやりがいになっています。新しい医用機器、仕組みの創造では、克服すべき課題を明確にして、自分で解決しなければなりません。そのプロセスは大変ですが、工学者として挑戦しがいを感じています。

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増澤 徹 先生がいらっしゃる
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 茨城大学は、人文社会、教育、理、工、農の5学部からなる中堅的地方総合大学です。校地は水戸・日立・阿見の3地区に分かれており、各キャンパスとも学生を中心とした環境づくりを進め、教育研究施設の充実を図っています。幅広い教養教育と高度の専門教育により専門家として自立できる人材を育成するため、学部・大学院にて多様な学習の場を用意し、各分野で世界を先導する研究活動を推進しています。

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