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講義No.09997

食品に隠された新たな機能を発見する「食品栄養化学」の魅力とは

食品が持つ3つの機能

 食品には、3つの機能があります。1次機能は、生きていくために必要なエネルギーになること。2次機能は、せっかく食べるならおいしいもの、見た目が美しいものを食べたいという欲求を満たすこと。そして3次機能が、食品の中に含まれている多様な成分を摂取することで、体内でそれぞれの成分が機能し、老化の抑制や抗酸化作用、代謝を活発にするといったプラスアルファの働きをすることです。農学系の一分野である「食品栄養化学」という学問では、この3次機能に着目し、食品に含まれるさまざまな成分を研究しています。

生活習慣病の予防と改善

 食品に含まれる成分の機能として特に注目されているのが、肥満や脂質異常症、糖尿病、高血圧といった生活習慣病の予防と改善作用です。例えば牛や羊などの反芻(はんすう)動物の食肉中や乳製品などに含まれる「共役リノール酸」という脂肪酸は、脂肪を燃焼しやすくする機能があることが発見されました。また、脂肪組織から分泌される善玉ホルモン「アディポネクチン」が大豆タンパク摂取などにより増加するなど、私たちが口にする食品によって生体内のバランスが変わることもわかってきました。このような研究は、細胞実験や動物実験を経て効果が実証された後、長い年月をかけて人体への適用がテストされ、特定保健用食品(トクホ)などに含まれる形で世の中に広まっていきます。

まだ見ぬ機能を探究する

 食品由来の機能性成分は、これまで廃棄されていたものにも含まれています。例えば、ブルーベリーの果実だけでなく、葉にもポリフェノールが含まれていることがわかり、動物実験では脂質異常症の改善や血圧低下作用が示唆されました。現在、在来作物などの地域特産品に含まれる機能性成分を特定し、付加価値の向上につなげる研究にも取り組んでいます。人間にとって身近な食べ物を研究対象として新たな機能を探究していく醍醐味(だいごみ)や、新たな食品素材に目を向けて、食品の有効利用と健康機能への可能性を広げるという点が、食品栄養化学の特徴です。

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この学問が向いているかも 食品栄養化学

山形大学
農学部 バイオサイエンスコース 准教授
井上 奈穂 先生

メッセージ

 学ぶことの原動力のひとつに「好き」になることがあります。しかし、それとは別に、自分が苦手なことや興味が薄いことにも、時には注目してみてください。
 雑誌や本を読む程度でもよいので、これまで自分が触れてこなかったことにアンテナを向けて、いつもと違う目線で考えられることを探してみましょう。その中から将来の自分の可能性を広げてくれる何かが見つかるかもしれません。

先生の学問へのきっかけ

 私は大学入学以前、興味の対象が漠然としていたこともあり、生物や工学、文系分野など幅広い要素を学べる農学部に進みました。さまざまな授業を受ける中で、食品栄養化学の講義に魅力を感じ、研究室を見学すると動物実験や細胞実験ができることにも興味を持ちました。研究室で恩師から、大豆や海苔などさまざまなサンプルを同時進行で研究する機会をもらえたことが、研究者になるきっかけになりました。以来、油や野菜、海産物など幅広い食品を対象に、人間の健康や長寿に役立つ機能を探究し続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品関係/製薬関係/公務員

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井上 奈穂 先生がいらっしゃる
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 山形大学は、東日本有数の総合大学であり、4つのキャンパスはネットワークで融合されています。社会のリーダーにふさわしい基本能力と幅広い教養を身につけるため、教養教育に力を入れています。大学運営の基本方針として、一つは、何よりも学生を大切にして、学生が主役となる大学創りをするということ、そしてもう一つは、教育、特に教養教育を充実させるという2点を掲げています。

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