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講義No.09960

脳の損傷で失われた言語機能を、患者さんに合わせた方法で回復させる

失語症は脳の損傷によって起こる

 脳梗塞(のうこうそく)や脳出血になった後、会話ができなくなった、文字の読み書きが困難になったという患者さんがいます。これは「失語症」と呼ばれる障がいで、脳の言語中枢が損傷されたために、それまで獲得してきた「話す」「聞く」「読む」「書く」などの言語機能が失われた状態です。
 失語症といっても、損傷された脳の部分によって症状はさまざまに異なり、大きく8タイプに分類されています。そのひとつ「ブローカ失語」は、前頭葉が損傷されて起こるのですが、話すことはできませんが人の言うことは理解できます。また漢字は得意ですがひらがなは苦手です。これに対して、「ウェルニッケ失語」は、側頭葉に病巣がある場合で、ぺらぺら話せますが、多くは意味の通らないおしゃべりで、他人の話を理解することが困難です。そして、漢字は苦手でひらがなの方が得意だという特徴があります。

失われた言語機能を回復させる

 失語症のケアやリハビリは、言語聴覚士が専門に行います。まずは検査によって、欠落した言語能力がどの部分なのかを調べます。
 その上で重要なのは、患者さんの仕事や趣味など、その人がそれまでどのような生活をしてきたかといった情報です。例えば、絵カードを使う言葉の訓練も、釣りが好きな人なら魚を使い、長年経理をしていたという人には慣れ親しんだ数字を使うなど、その人に合った効果的な方法を考えます。そのため、失語症の治療やリハビリは1対1が基本で、同じ言語聴覚士が長く関わることになります。

失語症への理解を広める

 失語症は、日常の会話が困難になるため、知的能力には問題がないのに、認知症と混同されることがあります。退院後、家族の理解が不十分だと、患者さんは意思の疎通がうまくいかないという状態に置かれ、精神的に追い詰められることが少なくありません。
 今後は、言語聴覚士の養成とともに、失語症への一般の理解を広めていくことが重要です。

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この学問が向いているかも 言語聴覚学

東北文化学園大学
医療福祉学部 リハビリテーション学科 言語聴覚学専攻 准教授
神山 政恵 先生

メッセージ

 言語聴覚士とはどういう職業か、一般にはあまり知られていないと思います。しかし、高齢化が進み、脳疾患の患者さんが増える現状で、今後ますます必要とされる仕事です。患者さんと1対1で向き合って、失った言葉の機能を回復させる仕事はやりがいがあります。回復した患者さんから直接感謝される機会も多く、そうしたときは大きな喜びを感じます。
 この分野に進むなら、高校生のときは、人と関わること、人に興味を持つことを心がけてください。難しく考えず、誰にでもあいさつをする、といった基本的なことを大切にしましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私は学生時代に読んだ聴覚障がいの人の著書に影響され、最初はろう学校の教員をめざしていました。しかし、大学の専攻科で失語症を専門にする恩師と出会い、脳の障がいで起こる失語症を扱う言語聴覚学に強い興味を持ちました。言語聴覚士が扱うのは、失語症を含む高次機能障がいだけでなく、噛んだり飲み込んだりといった食べること、聴覚障がいとさまざまな分野があります。現在、リハビリに関わる理学療法士は全国に11万人、作業療法士は8万人いますが、言語聴覚士は3万2000人と各段に少なく、今後の養成が急務となっています。

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神山 政恵 先生がいらっしゃる
東北文化学園大学に関心を持ったら

 10月5日(土)に夢メッセみやぎで開催される大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2019仙台会場」で、神山 政恵先生が【失語症って、何でしょう?】というタイトルの講義ライブを14:20から実施! 全部で140名の大学教授が講義ライブを実施するほか、本学を含む118大学が個別ガイダンスを実施します。詳しくは
 https://yumenavi.info/live/sendai/をご覧ください。

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