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講義No.09950

地域の天然資源から化粧品を開発する

「地産地消」の化粧品開発

 化粧品は、石油系原料からもつくることはできますが、農水産物資源から有用な成分を抽出して、それを原料として使うこともできます。それが地元で収穫できる農水産物であれば、「地産地消」となり、その地域の活性化にもつながります。そこで、こうした地域の農水産物を原料とした化粧品開発の研究が進められています。

魚のウロコからコラーゲンを抽出

 そのひとつが、廃棄された魚のウロコや皮から抽出されたコラーゲンを原料にする研究です。コラーゲンは、化粧品としては保湿効果を高める機能があり、重要な素材です。ウロコの成分は約70%がコラーゲンで、残りはカルシウムなどです。まずカルシウムを取り除く脱灰(だっかい)という工程を経て、残ったウロコを破砕・減圧するとコラーゲンを抽出できます。
 課題は、魚の臭みを取り除き、コラーゲンを高分子の状態で抽出することです。オゾンを含んだバブルを使うと臭みを取り除けますが、オゾンによる酸化でコラーゲンが破壊されるという難点があります。また、熱を加えると、コラーゲンがゼラチンに変性してしまうので、短時間で加工するなどの工夫が必要です。

ツルムラサキの実から色素を抽出

 ほかにも、ツルムラサキという植物の実から色素を抽出して、口紅の原料に使う研究もあります。口紅は通常、石油系の原料が使われていますが、体内にも入る素材なので、植物由来の原料にすることは意味のあることです。ツルムラサキは昔から抗酸化作用があると言われています。この色素に界面活性剤を混ぜると褪色(たいしょく:色があせること)を抑制できるのではという予想に反し、褪色を加速させるという分析結果が出ました。これは、ツルムラサキの色素に含まれている鉄分が酸化を促したためで、脱気(だっき)して溶け込んだ気体を除いた水で実験を行うと、褪色は停止しました。このように天然資源を利用した化粧品開発は、化学的な知識を生かした工学的なアプローチにより行われているのです。

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この学問が向いているかも コロイド化学、化粧品科学

福岡工業大学
工学部 生命環境化学科 教授
桑原 順子 先生

メッセージ

 私の研究室では、コラーゲンや色素、界面活性剤など、化粧品の素材に関する研究を行っています。九州には豊富な天然資源があり、そこから有用な資源を抽出して、それを応用する研究です。
 化粧品をつくるには、界面活性剤や油分、アミノ酸、ペプチド、コラーゲンなどの生体材料、安定化剤、香料、保湿剤、高分子などさまざまな原料が必要です。複数成分の融合から得られる化粧品は、理学と工学の視点でのアプローチが必要となる分野です。ぜひあなたも福岡工業大学で、一緒に頑張って研究していきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私は、高校時代は化学が得意で、将来はその知識を生かして化粧品を開発する仕事に携わりたいと考えていました。そのため大学では、生体高分子やコロイド、界面活性剤など化粧品開発に必要な知識を学び、基礎研究を続けました。一方で、地域の大学の研究者として、地元にある天然資源を生かした化粧品開発も行っています。これは、豊富な天然資源の中から、化粧品に有用な資源や素材を見つけ出し、それを開発につなげるというものです。化粧品を作るには、化学的・生物学的知識、それらを実現するための工学的アプローチが必要になります。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

化粧品メーカー開発/化粧品メーカー品質管理/食品メーカー開発/環境分析会社分析技術者/高分子メーカー開発

研究室
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桑原 順子 先生がいらっしゃる
福岡工業大学に関心を持ったら

 福岡工業大学は工学部、情報工学部、社会環境学部(文系)、大学院、短期大学部からなり、「情報」「環境」「モノづくり」の3分野を柱に、実践的な教育を実施。面倒見の良さや就職率の高さは、全国的に高く評価されている。JR鹿児島本線の快速停車駅「福工大前駅」に直結する利便性と、水と光と緑あふれるエコキャンパス、機能的なデザイン設計の校舎が、快適な学生生活を応援します。

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