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講義No.09945

国際宇宙ステーションの「きぼう」で、筋ジストロフィーの薬を研究

筋ジストロフィーはどんな病気?

 筋ジストロフィーは、筋肉細胞を構成するタンパク質が作られず、少しの負荷でも筋肉細胞が壊れやすく、筋力が低下し、萎縮または壊死(えし)して、運動機能に障がいが起こる病気です。
 健康な人なら、激しい運動をして筋肉細胞が壊死してもすぐに再生し、筋力が増します。しかし、この病気では壊死しても、再生が追いつかないために萎縮してしまいます。原因は、細胞膜を支えるジストロフィンという遺伝子の異常です。この病気を治すには、iPS細胞などを用いた遺伝子治療が必要で、世界中で研究が進められています。

病気の進行を遅らせる薬を開発

 現状でも、薬を使って病気の進行を遅らせることは可能です。筋ジストロフィーの発症の原因は遺伝子の異常ですが、病気の進行には2次的な要因もあると考えられています。炎症や壊死を起こした筋肉で、H-PGDSという酵素が活発に働くと筋ジストロフィーの病態が進むことがわかってきました。そこで、この酵素の働きを抑えることができれば、病気の進行を遅らせることができます。偶然にも、別の薬の開発過程でH-PGDSの働きを抑える薬が発見され、現段階ではこの薬の効果を高める研究が行われています。

無重力状態で創薬研究

 薬が安全かつ強力に作用するためには、薬が病気の原因となる酵素や受容体だけに結合することが重要です。「鍵」と「鍵穴」の関係のように、ピタリと形状が合えば安全で強力に作用します。酵素を結晶化すると「鍵穴」の詳しい分子構造を明らかにすることができます。「鍵穴」の形がわかれば、薬すなわち「鍵」を理論的に設計できるのです。酵素を結晶化するには、重力のない宇宙空間のほうが適しています。そこで、国際宇宙ステーションの日本の実験棟「きぼう」で酵素を結晶化する研究が行われています。この研究によって、筋ジストロフィーの進行を遅らせるさらに効果の高い薬が開発されることが期待されているのです。

宇宙の微小重力環境を利用した薬の開発

夢ナビライブ2019 福岡会場

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この学問が向いているかも 薬理学、薬品作用学

第一薬科大学
薬学部 薬学科 教授
有竹 浩介 先生

メッセージ

 私は、薬理学の研究を行っています。薬理学とは、薬がどのようにして体に作用を及ぼすのかを研究する学問です。その中でも、特に筋ジストロフィーの進行を遅らせるための薬を開発しています。
 私は恩師から、研究に必要なのは、運・鈍・根だと助言を受けました。この言葉からわかるように、創薬の研究は時間がかかり成果を出すのが難しい分野です。しかし、有効な薬を開発できると多くの患者さんを救うことができます。その目標に向かって日々頑張っています。創薬や薬の効果に興味があるなら、ぜひ一緒に勉強しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 大学では病気の治療に有効な新しい成分を植物から見つける研究をしていました。就職後、炎症などの治療薬を開発するチームに加わり、薬の候補化合物の効果を調べ、偶然に炎症などにとても効く化合物を発見しました。それがなぜ効くのかを詳しく調べると、炎症の原因となる酵素の働きを阻害することがわかりました。その成果が後に、筋ジストロフィーの薬の開発に結びつくのです。こうして薬の開発にいっそう興味を持ち、大学院で薬の評価方法を勉強し直しました。現在は、強力かつ安全な筋ジストロフィーの薬を作り出す研究をしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬会社 研究員/製薬会社 臨床開発/病院 薬剤師/薬局 薬剤師

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有竹 浩介 先生がいらっしゃる
第一薬科大学に関心を持ったら

 昭和35年に開学した第一薬科大学は、伝統と実績を有する九州唯一の薬学単科大学です。これまで病院、診療所や薬局などで地域医療を担う、14,000人を超える優れた薬剤師を全国に輩出してきました。平成28年4月からは、薬学科・漢方薬学科の2学科制となり、今まで以上に、現代の医療現場が求める薬剤師育成を実現する環境が整いました。なお、卒業までに必要な修得単位数と、薬学共用試験(CBT、OSCE)および薬剤師国家試験に関わる科目は、両学科とも共通となっています。

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