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講義No.09939

水が持つ情報を解き明かす~未来へつなげる環境学の必要性~

未来につながる水質計測

 私たちは日々水を使い、汚れた水を下水道に流し、衛生処理して環境に戻しています。そして、人間や動物が生きていく上で好ましい水の環境を整えるために、さまざまな観点から水の計測や分析を行っています。しかし計測できるのは現在の水に限られており、昔よりもどのくらい良くなったのかは正確には判断できません。過去の時代の水の状態を示すデータが残されていないからです。このことからも、水のデータを正確に計測、記録し、50年、100年というスパンで継続することには、次世代の水環境を保つ上で大きな意義があります。

分析技術の向上

 水質研究のレベルは日々向上し続けています。日本の水質汚染問題の転機は、1970年代にさかのぼります。当時は環境中に多量の化学物質が放出され、それらが河川に流出し、水環境を汚染することが問題になっていました。1970年代になって法規制が進み、使われる化学物質の量は大幅に減少しましたが、反対に人々の利便性に応じて使われる化学物質の種類は飛躍的に増えています。水質計測においても、微量で多種類におよぶ化学物質を測ることが求められるようになり、さまざまな計測技法が開発されてきました。

遺伝子計測がもたらす大きな可能性

 新たな水質計測の方法として近年注目されているのが、遺伝子を用いる計測です。2017年にある研究グループがボルネオ島にある動物の水飲み場の水を採取し、そこに含まれる遺伝子情報を解析したところ、絶滅が懸念されているオランウータンがそこを利用していることがわかりました。つまり、直接観測したり、写真に収めたりする前に、周辺にいる動物の存在が確認できるようになったのです。
 これを応用すれば、例えば川の上流から下流までに生息する魚や植物プランクトンの種類、および周囲の生態環境を、実際に捕獲することなく割り出すこともできるようになります。水環境と生物の研究をつなぐ技法として、大きな役割が期待されています。

生命環境科学への誘い

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科学の役割

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環境DNAで水環境を評価

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この学問が向いているかも 環境学、水環境学

県立広島大学
生命環境学部 環境科学科 教授
西村 和之 先生

メッセージ

 高校時代はあらゆることに関心を持つようにしましょう。範囲を絞らなくてもいいし、自分の好みと真逆のことであっても構いません。その中から面白いと感じるものが見つかり、将来の職業にもつながっていくのです。
 その上で、本をたくさん読むことが大切です。乱読でも、内容を完全に理解できなくても大丈夫です。将来、知識がついた段階で読み返してみると、別の視点が得られるはずです。受験に向けた勉強も大切ですが、ぜひたくさんの本を読んで、自分の関心を広げてください。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代までは動物に興味がありました。しかし大学に進むとき、動物をより大きな枠組みの中でとらえようと、環境科学分野に進みました。初等教育で生物や化学、物理などを学び、それぞれの科目が密接に関わっていることに気づきました。そして化学を通して生物を考えたくなり、卒業研究は化学分析を主体とする研究室を選びました。やがて微生物に興味が移り、現在は微生物を使った環境の浄化や評価の研究をしています。私が大好きなのが実験です。仮説・実験・証明・再度検証という、トライアンドエラーを繰り返すことに意義を感じます。

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西村 和之 先生がいらっしゃる
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 県立広島大学は、教育、研究、地域貢献、国際交流のいずれにおいても公立大学として一級の大学になっています。「主体的に考え、行動し、地域社会で活躍できる実践力のある人材の育成」を目標に、教養教育では、大学4年間の学士課程教育を通じて実施する「全学共通教育科目」を設定するとともに、専門教育においては、教養教育との連携を図りながら、「専門科目」を系統的に設定することにより、バランスのとれた教育内容を提供していきます。

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