夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

講義No.09908

国際社会の正義を実現するグローバルガバナンス

国際社会の正義とは

 正義とは、簡単に要約すると「人と人との関係が正しく取り結ばれていること」です。世界を見ると、8億人以上が飢餓に苦しんでいる一方で、先進国を中心に年間約13億トンの食料が廃棄されています。たまたま貧しい国に生まれた人は貧しい生活を強いられ、豊かな国に生まれた人は富を享受しています。国際社会の仕組みを通じて利益や不利益が生まれる、歪んだ関係ともいえるでしょう。
 これを是正するために、貧困や飢餓をなくすことなどを目的とするSDGs(持続可能な開発目標)が国連サミットで採択され、国際社会がこれに取り組もうとしています。

タックスヘイブンによる日本の損失は消費税2%分

 さらに今、国際社会で注目されているのが、「タックスヘイブン(租税回避地)」の問題です。大手企業や裕福な人が自国への納税から逃れるために、法人税や所得税などの税率がゼロか極めて低い国へと資金を移動しているのです。タックスヘイブンによる日本の税収の損失は、5兆円にのぼるといわれ、消費税2%分ほどに相当します。庶民や中小企業は税金から逃れられずに正直に払っているのに、富裕層や大手企業の一部は税逃れをしているのが現実で、一部の裕福な人ほど有利になる社会なのです。

国境を超えて解決するグローバルガバナンス

 こうした税源浸食と利益移転の問題を解消すべく、国際社会は「BEPS(ベップス)プロジェクト」を立ち上げて、対応しようとしています。これにより、資金を貧困や飢餓を抱える国への支援に使うことも可能になります。
 国際的な課題は、これに限りません。例えば、利益を生む先進国の医療技術や医薬品の開発は積極的に行われますが、利益にならないアフリカの風土病には目も向けられていません。先進国が地球環境を汚染し、貧しい国が被害を受ける構造もそのひとつです。こうした、国境を超えた「人と人との関係」が正しくあるために、問題を解決するグローバルガバナンスがますます重要な時代となっています。

地球社会の貧困と正義

夢ナビライブ2019 名古屋会場

アイコン

「貧困」に対する誤解

アイコン

貧困を助ける「グローバル正義」とは?

アイコン

貧困を助ける実例をみてみよう!

アイコン

講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 政治学、国際政治学

名古屋市立大学
人文社会学部 現代社会学科 教授
伊藤 恭彦 先生

先生の他の講義を見る 先生の著書
メッセージ

 AIの時代を迎えた今こそ、「人文社会科学」は重要です。人文社会科学は、人間とは何か、人の生き方や考え方、社会とはどういうものかなどについて考える学問です。テクノロジーにのみ込まれることなく、これからの社会を自分らしく生き抜くには、ますます必要になってくるでしょう。人間と社会を深く理解し、「未来をつくるのは自分たちである」という認識を持つことが人文社会科学の領域です。変化に柔軟に対応するための知恵と新しい行動を生み出す力となります。
 自分の未来を考えるときには、人文社会科学にも注目してみてください。

大学アイコン
伊藤 恭彦 先生がいらっしゃる
名古屋市立大学に関心を持ったら

 名古屋市立大学は、医学部・薬学部・経済学部・人文社会学部・芸術工学部・看護学部・総合生命理学部の7学部とそれぞれの研究科およびシステム自然科学研究科からなる総合大学です。
 大学の最も重要な使命は、優れた教育を通して地域および国際社会で活躍する有為な人材を育てること、すなわち「人づくり」です。知識の詰め込みではなく、自ら課題を見つけ、その解決に正面から取り組む姿勢を養うため、本学では、学生と教員の触れ合いを大切にし、演習、実習を重視する少人数教育を行っています。

TOPへもどる