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講義No.09907

ヒトiPS細胞を使った、最新の医薬品開発方法とは?

iPS細胞を利用した新薬の開発

 新薬の開発は、動物実験で検証した後に、臨床試験で人間に対する作用を確認します。ヒトと動物では反応が違うことがたくさんあるからです。しかし、最初からヒトの細胞を使った実験をしたくても、臓器から採取するわけにはいきません。そこで今、注目されているのが、iPS細胞を使って人工的につくり出された組織や臓器の細胞による試験です。iPS細胞は献血で得た血液からつくることができるため、負担が軽いのも利点です。そのため、さまざまな臓器の細胞や組織をつくる技術開発が進んでいます。

より日本人に適合する新薬へ

 これは、より日本人に適合する薬の開発が進むことも意味しています。内服薬は、主に小腸で吸収されて肝臓に入り、一部あるいは大半が排出されます。ですから、薬の効果や消化・吸収の仕組みを知るには、小腸と肝臓の働きを調べることが必要です。しかし、その細胞は輸入に頼っているのが現状で、日本人と体質が異なる外国人の細胞を使うしかありません。日本人のiPS細胞による組織で試験ができれば、より日本人の体質に合った薬の開発につながります。

手の平サイズに組織を再現、難病の解明にも

 近い将来、iPS細胞で作製した小腸と肝臓の組織を手の平サイズの装置に配置し、人間の消化・吸収を再現できるようになるでしょう。薬を吸収する様子を再現することで、より効果的な検証ができます。組織を変えれば、健康食品や化粧品などの安全性や効果も検証できます。さらに、iPS細胞でアルツハイマーやALS(筋萎縮性側索硬化症)、筋ジストロフィーといった病気も再現できます。病気のメカニズムの解明や治療法の開発に役立てることも期待されています。
 この技術が確立すれば、マウスやラットなどを使う動物実験は必要なくなるでしょう。しかも、より早く安全な薬を世に出すことができます。世界中で開発競争が行われており、メイド・イン・ジャパンの技術が期待されているのです。

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この学問が向いているかも 薬学

名古屋市立大学
薬学部  教授
松永 民秀 先生

メッセージ

 大学は一つのステップであり、卒業後に人生の本番がスタートします。大学での先輩や同期、教員との出会いなどから、意外な自分を発見し、将来の道が大きく変わることもあります。それほどの出会いの場が、大学にはあるのです。
 また、大学で学ぶうちに興味・関心が別の方向にいくこともあります。私自身、研究者の道を選択したのは大学での出会いがあったからです。まずは自分の学びたい分野、関心のある分野に進むことです。そして、大学で思いっきり楽しみながら学びましょう。きっと道が開けるはずです。

先生の学問へのきっかけ

 私は高校までは勉強が嫌いでした。ただ理科は好きで、兄の病気を治したいという思いから、薬剤師になろうと考えました。薬学部へ進学した時、入学金や授業料があまりに高額なことに驚き、それからは本気で勉強するようになりました。大学では、主に体内での解毒効果の研究をしました。渡米して研究員として活動し、帰国後も大学で研究を続けました。その後、日本でも初めてES細胞を使った研究ができるようになり、「誰もやっていない研究をしよう」と、当時から持っていたアイデアで、現在はiPS細胞を使った新薬の研究をしています。

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松永 民秀 先生がいらっしゃる
名古屋市立大学に関心を持ったら

 7月20日(土)にポートメッセなごやで開催される大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2019名古屋会場」で、松永民秀先生が【ヒトiPS細胞を医薬品開発研究に利用する】というタイトルの講義ライブを11:00から実施!全部で206名の大学教授が講義ライブを実施するほか、本学を含む145大学が個別ガイダンスを実施します。詳しくは
 https://yumenavi.nagoya(パソコン、スマホ、ケータイ共通)をご覧ください。

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