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講義No.09906

立派なオスの牙だけが特徴ではない! クワガタムシの多様な世界

多様性に満ちたクワガタの世界

 クワガタムシ(以下、クワガタ)というと、多くの人が特徴的なオスの牙(きば)を思い浮かべると思います。しかし、クワガタには多種多様な形態があります。牙の形もさまざまで、牙のないクワガタもいます。大きさも多様で、ごく小さなクワガタもいます。では、クワガタを識別する特徴は何かといえば、触角(ひげ)が「肘」のように曲がっていることと、腹板(お腹の板)が5つあることです。一見、クワガタとはとても思えない種にもこの特徴は共通しています。さらに、形態だけでなく、生態や繁殖行動も多様です。

さまざまなグループが独自に進化

 オスの牙の形態に多様性をもたらしているのは、さまざまなケンカの方法です。逆に言えば、ケンカの方法が似ていれば、異なったグループでも牙の形が似てきます。ケンカの目的は繁殖やエサ場の獲得です。チビクワガタは、夫婦が一緒に子どもを育てます。チビクワガタの祖先のオスには牙が発達していましたが、一夫一妻でケンカの必要がないため退化してしまいました。クワガタは、このように環境に適応して形態や生態、繁殖行動を変化させることで、それぞれのグループが独自に進化していったのです。
 またその際、近縁種同士の生息地が近い場合は、交雑を避けるために、オス・メスの生殖器の形を極端に変えます。その結果、それぞれの種が生き残り、1500種ものクワガタが生まれました。

進化の歴史を人間が台無しにすることは許されない

 このようなクワガタの進化は、生物多様性の進化を凝縮したものです。しかも、これほど多様な種が発生する確率は、偶然に近いほどの低い確率です。その意味で、人間の勝手な振る舞いで、この奇跡とも言える進化の歴史を台無しにすることは許されません。
 ペットショップなどでも売られている海外のクワガタが逃げ出すと、日本のクワガタが競争に負けたり、病気や寄生虫を移されたり、交雑が生じたりして、日本のクワガタが絶滅するばかりか、日本の生態系そのものが破壊されてしまう恐れもあるのです。

参考資料
1:昆虫分類学クイズ

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この学問が向いているかも 昆虫学、進化学、生物多様性科学

九州大学
共創学部 共創学科 教授
荒谷 邦雄 先生

先生の著書
メッセージ

 あなたに一番望むことは、身のまわりの生き物に目を向けてほしいということです。地球上にはいろいろな生き物がいます。そこだけにしかいない、こんな形の生き物が、こんな変わった生活をしているということをぜひ観察してみてください。最近、生物学では、分子生物学をはじめ理論や実験を主流とした分野が盛んになっていますが、生物学の基本は実際の生物を、その生物が暮らす環境の中で見ることで、そこからすべてが始まります。
 現場主義で、実際に現場に行って自分の目で興味のある面白いことを探してみてください。

先生の学問へのきっかけ

 クワガタムシと最初に出合ったのは幼稚園の時です。風邪で寝込んでいた私に、朝の出勤途中にコクワガタのオスを拾った父が、わざわざ家まで戻って持ってきてくれたのです。その後、小学校6年生の時に訪れた姫路城で、黒い小さな甲虫を捕まえました。その甲虫を手にした瞬間「クワガタムシだ」と直感しました。図書館に通い、それが「チビクワガタ」だと突き止めた時、とても嬉しく自分が誇らしく思えました。それがクワガタムシ研究の始まりでした。それから40年余り、世界中を飛び回って50種近い新種のクワガタムシを発見しました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学や企業の研究者/博物館学芸員/農業・林業試験場研究員/小中高の理科教諭

研究室
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荒谷 邦雄 先生がいらっしゃる
九州大学に関心を持ったら

 7月24日(水)にインテックス大阪で開催される大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2019大阪会場」で、荒谷邦雄先生が【クワガタムシの多様性進化の秘密に迫る!】というタイトルの講義ライブを12:40から実施!全部で266名の大学教授が講義ライブを実施するほか、本学を含む183大学が個別ガイダンスを実施します。詳しくは
 https://yumenavi.osaka(パソコン、スマホ、ケータイ共通)をご覧ください。

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