夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

講義No.09899

万葉集からSNSまで~日本語のすべてを探究する日本語学~

日本語に関するあらゆることが研究対象

 「日本語学」とは、日本語に関して、意味、文法、発音、文字などさまざまな要素を、時代ごとの変化や地域差(方言)、外国語の影響といった多角的な観点で調べ、背後にある仕組みを見いだしていく学問です。『万葉集』など古代の文献から現代のインターネット上の文章まで、あらゆる日本語が研究対象です。普段当たり前に使っている日本語も、客観的に見ると疑問点や面白い現象が浮かび上がってきます。

生き物のように変化する日本語

 例えば、「一枚しかない」というときの「しか」という助詞は、古代にはありませんでした。「~よりほかになし」という言い回しでこの意味を表していたのです。また、「顔も洗ったし、歯も磨いた」など、事例を並べるときの接続助詞「し」が、最近では「ここにあるし」のように、単に文末につけて「~よ」「~ね」と同じような終助詞として使われるようになってきています。また、「ら抜き言葉」も増えてきています。
 こうした言葉の使い方の変化が、どのように発生したかを調べるのも日本語学の領分です。言葉は生き物のように変わっていきますから、日本語学の研究テーマは無限にあります。

日本語学の影響力と魅力

 ITが発達する前は、一つひとつ文献にあたるという大変な作業で、集める用例には限界がありました。現在は文献もデジタルデータ化され、検索をかければ瞬時に膨大な用例を集めることができます。歴史的資料をこの手法で研究し直したときに、日本語の新たな発見、新しい解釈が生まれる可能性もあり、古典文学の研究や歴史学への影響も大きいと言えます。
 グローバル化によって他言語への関心が高まっており、他言語との比較対象として日本語学を学ぶ人も非常に多くいます。日本語は1億人以上の話者がいて、メディアが発達した社会で使用され、漢字、ひらがな、カタカナと独自の文字体系があり、方言差のバリエーションも多い、という豊かな言語です。日本語学は興味の尽きない学問なのです。

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この学問が向いているかも 日本文学、歴史学、言語学、日本語学

名古屋大学
文学部 人文学科 准教授
宮地 朝子 先生

先生の著書
メッセージ

 世界には何千もの言語がありますが、現代語としても歴史的な資料としても、日本語ほど多角的に観察できる言語は多くはありません。また、日本で生活していれば、日本語のデータの海の中にいるようなもので、日常会話やインターネットの中で、「あれ?」と思う日本語の不思議な現象を見つけて、パズルを解き始められます。日本語学はそういう楽しい学問です。
 また、日本語を研究することは、社会に出てからも、外国語を学ぶときにも、場面に応じて適切な言葉をチョイスするセンスを磨くことにつながります。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃、父の転勤で日本の各地を転々としました。最初は緊張していても、その地方の方言で話せるようになるとクラスに溶け込めるという経験から、方言に興味を持ちました。そして、もともと読書が好きで、言葉に興味があったことから、国語教師をめざして大学に進みました。しかしその後、大学院で日本語学の面白さにひかれ、研究者となりました。現在の専門は助詞の研究です。小学校1年生の我が子がいろいろな言葉を覚えつつある中で、子どもらしいおかしな表現をすることも研究対象にしたいほど、日本語学を楽しんでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

中学・高等学校国語科教諭/官公庁一般職/新聞社校閲/金融・商社・流通・広告など総合一般職/日本語教師/大学教員(日本語学・日本語表現・日本語教育・国語科教育)

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宮地 朝子 先生がいらっしゃる
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 名古屋大学は、研究と教育の創造的な活動を通じて、豊かな文化の構築と科学・技術の発展に貢献してきました。「創造的な研究によって真理を探究」することをめざします。また名古屋大学は、「勇気ある知識人」を育てることを理念としています。基礎技術を「ものづくり」に結実させ、そのための仕組みや制度である「ことづくり」を構想し、数々の世界的な学術と産業を生む「ひとづくり」に努める風土のもと、既存の権威にとらわれない自由・闊達で国際性に富んだ学風を特色としています。この学風の上に、未来を切り拓く人を育てます。

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