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講義No.09897

日本独自の超音波技術で海洋生物の情報取集に挑む!

音波で海洋生物を調査

 海洋生物の情報収集に「超音波バイオテレメトリー」という方法があります。魚にピンガーという超小型の発信機を取り付け、受信した音波から魚の位置、遊泳している場所の深さ、水温などの情報を収集します。水中では電波が届かないので音波を利用します。以前、カナダとアメリカが共同で大規模な魚の生態調査を行ったこともあり、現在はバイオテレメトリーの装置はカナダのメーカー1社がシェアの9割を占めています。

狭い場所で同じ音を聞き分けたい

 発信機が超小型のため、単一の周波数しか使えません。たくさんの魚を識別するために、今までの装置はそれぞれが発信する断続的な音波の間隔を変える方法を取っていました。しかし狭い範囲では同じ声の人が一斉に話すような状況になり、音が重なると聞き分けられません。日本では定置網の中での魚の泳ぎなど、狭い範囲で細かな行動を調査したいというニーズが多くあり、この方法では困難です。
 そこで日本独自の装置の開発が始まりました。日本の装置には、携帯電話やGPSの技術をもとに特殊な音を出す振動子を利用して信号に識別コードを埋め込む方法が採用されています。これによって同じ周波数でも、個々の信号を識別することができ、これにより狭い範囲での調査が可能になりました。

漁業の発展にも貢献

 この技術は生物の調査だけでなく、漁業の発展にも応用されています。海中の潮の流れは一様ではないため、漁具を意図した場所に入れるのは困難で、長い経験が必要です。そこで、漁具にピンガーを取り付け、水中マイクを海中に入れることで、投げ入れた網などの位置や水深がわかります。生物に付けるピンガーは小型化と長寿命を両立するために発信間隔を変えるなどの改良を重ねる一方、漁具に付けるものは電池交換ができるように逆に大型化させるなど、実用に向けた装置の開発が進められています。
 日本独自の装置の普及とともに、漁業就業者数の減少に対する効率的な漁獲に役立つことが期待されています。

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この学問が向いているかも 海洋資源エネルギー学

東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科 教授
宮本 佳則 先生

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メッセージ

 あなたは、大学とは「勉強」をするだけのところだと思っていませんか? 私は、「勉強」が好きだったわけではなく、興味を持ったことを突きつめて知りたいがために、研究を続け、その結果として今の自分があると考えています。
 「勉強」だと思うと、大学生活は大変だと感じるかもしれませんが、知りたいことをとことん追究していく機会ととらえてはどうでしょう。そう考えれば、どんな分野に進んでも興味を持って学んでいけます。あなたが海や海洋生物が好きなら、「海」というキーワードで、一緒に研究してみませんか?

先生の学問へのきっかけ

 親戚が造船所で働いていて、小学生の頃にそこで大きな船が造られる様子を見学したことがあります。「こんなものが造れるんだ!」と感銘を受け、造船に強い興味を持ちました。一方、オーディオのアンプを作るなど電気にも関心があり、船も好きだし電気も好きだという理由から、東京水産大学(現:東京海洋大学)に進学し、主に磁気コンパスなど、漁船が航海するための計器の研究をすることにしました。博士課程のあと、縁あって南極観測隊に参加することになり、南極の氷の下にいる魚の行動を追いかけるという調査に携わりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

電子機器メーカー研究員・営業/環境アセスメント研究員/官公庁

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宮本 佳則 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 7月20日(土)にポートメッセなごやで開催される大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2019名古屋会場」で、宮本佳則先生が【「超音波バイオテレメトリー」で魚を追う】というタイトルの講義ライブを16:00から実施!全部で206名の大学教授が講義ライブを実施するほか、本学を含む145大学が個別ガイダンスを実施します。詳しくは
 https://yumenavi.nagoya(パソコン、スマホ、ケータイ共通)をご覧ください。

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