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講義No.09871

宇宙初期の爆発的な膨張を明らかにする「宇宙背景放射」

宇宙初期のインフレーションと宇宙背景放射

 宇宙のはじまりでは、高温、高密度の高いエネルギー状態にあった宇宙が、爆発的に膨張したと考えられています。これをインフレーション理論といいます。高温の状態で発せられた光は、宇宙膨張によって波長が伸びます。この光は「宇宙背景放射」と呼ばれ、今でも宇宙に残っていて、地球にも降り注いでいます。それを観測することで、宇宙のはじまりにおける宇宙の密度を計測することが可能です。その密度は均一ではなく偏りがあり、これは量子力学の「量子ゆらぎ」としてとらえることができます。したがって、宇宙のはじまりは量子力学で考察することが可能です。

宇宙形成の核となる量子ゆらぎ

 量子ゆらぎがあるとそれが核となって、宇宙の長い歴史の中で重力によって塵(ちり)などが凝集(ぎょうしゅう)して星が形成されます。星が集まれば銀河ができ、さらに銀河団が形成されます。現在の宇宙の形成には、量子ゆらぎがあることが必須なのです。
 観測は、超電導技術を搭載した高性能な電波望遠鏡で行われます。この望遠鏡は、水蒸気と酸素を嫌うため、標高5000mにあるチリのアタカマ高地などに設置されています。観測データを分析すれば、宇宙の膨張によって、どの時期にどの程度のスピードで宇宙が引き離されたかがわかります。そこから、それに費やされたエネルギーも算出することができます。

物理学理論の重要命題を実験で証明

 インフレーション理論は、理論的にも観測事実としても、証明されているわけではありません。しかし、宇宙背景放射の観測によって、インフレーションの事実が明らかになれば、証明されたことになります。また、これまで困難とされてきた重力の量子化の証明にもなります。さらに、地球上では宇宙の初期にあった高エネルギー状態を再現することはできませんが、観測で宇宙の初期に、素粒子物理学でいう大統一理論のエネルギースケールが存在したことが明らかになります。物理学理論の重要な命題の証明にもつながるのです。

参考資料
1:宇宙と物質創成の「痕跡」を観測する実験研究

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この学問が向いているかも 宇宙物理学、素粒子物理学

京都大学
理学部  准教授
田島 治 先生

メッセージ

 私は、宇宙と物質の創成について、実験的に研究しています。宇宙のはじまりを理解すれば、私たちを形作っている物質がどのようにして生まれたかを明らかにすることができます。
 高校生の頃に、宇宙のはじまりに興味を持って、科学雑誌を読み、わからないことをわかりたいと思ってどんどん追究していたら今の位置に来ていました。そして、まだまだわからないことばかりなので、研究を続けています。あなたも、何かに興味を持ったら、それをとことん追究してみてください。

先生の学問へのきっかけ

 高校1年生で科学雑誌を読んで「宇宙のはじまり」に興味を持ち、物理の授業が面白くてのめり込み、大学院では素粒子物理学の道へ進みました。その後、スーパーカミオカンデ近くのカムランドでのニュートリノの研究、つくば市の巨大な加速器での研究を経て、もっと高いエネルギースケールの研究がしたくなりました。宇宙は誕生の時に遡るほど高いエネルギー状態になります。最終的に、宇宙誕生初期からの微弱な痕跡を見る実験こそが、究極の高エネルギー実験であると再認識し、現在の専門分野「宇宙背景放射の観測研究」に飛び込みました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

学術研究員/ソフトウェアやエレクトロニクスの開発エンジニア/学校教員

研究室
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田島 治 先生がいらっしゃる
京都大学に関心を持ったら

 7月24日(水)にインテックス大阪で開催される大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2019大阪会場」で、田島治先生が【宇宙背景放射でみる量子宇宙のゆらぎ】というタイトルの講義ライブを14:20から実施!全部で266名の大学教授が講義ライブを実施するほか、本学を含む183大学が個別ガイダンスを実施します。詳しくは
 https://yumenavi.osaka(パソコン、スマホ、ケータイ共通)をご覧ください。

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