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講義No.09861

児童虐待を防ぐ支援を考えよう

児童虐待が増えている日本社会

 近年、児童虐待による痛ましいニュースを聞くことは珍しくありません。これにはいくつか理由があります。まず、2000年に児童虐待防止法が施行され、「民事不介入」の原則が修正されて、「虐待を受けたと思われる」状態で児童相談所が家庭に介入できるようになったことが挙げられます。また子どもの人権についての意識が高まり、児童虐待が与える心身のダメージが大人になっても消えないという、深刻さに対する認識が広まってきたことも挙げられるでしょう。

しつけという名の暴力を止めよう

 児童虐待が認められた場合、多くの保護者は「しつけをしようと思った」と言います。そこにあるのは親子関係の悪循環(バッドサイクル)です。つまり最初は小さなものだった子どもの問題行動で、保護者はイライラして自制心を失い、「しつけ」という名の暴力をふるいます。暴力は一時的に子どもをコントロールできますが、長い目で見れば関係悪化は避けられません。保護者と子どもとのコミュニケーションは質量ともに低下し、子どもはさらなる問題行動を起こし、暴力も……、というサイクルです。そこで社会福祉サービスの調整を担う国家資格を持つソーシャルワーカーは、保護者にしつけやコミュニケーションを教える「ペアレントトレーニング」を行うことになります。

ソーシャルワーカーにできること

 また保護者から子どもを引き離した方がよい場合もあり、児童養護施設や里親制度を使うこともあります。もちろん保護者から離れた子どもは心身ともにダメージがあるためケアが必要です。あえて問題行動を起こす「試し行動」が激しく、養育するのが困難な場合もあります。そこで、育てる側・育てられる側双方の思いを聞き、環境面での改善をはかるなど、具体的な問題解決を通して望ましい状態を実現していくソーシャルワーカーの仕事が重要になります。起こった現象に対処するだけでなく、それが起こる原因となっている人同士の関係性をひもとくことが求められるのです。

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この学問が向いているかも 社会福祉学、児童教育学

福山市立大学
教育学部 児童教育学科 准教授
野口 啓示 先生

先生の著書
メッセージ

 あなたは、持続可能性を持って社会が維持されるためには何が必要だと思いますか。シンプルに考えてみると、人が子どもを産んで親となり、育てていくことが必要です。しかし、現在の社会は安心して子どもを産み、育てられる社会になっているでしょうか。それができる社会は明るいはずです。
 こういった大きな問題を、私たち一人ひとりができる小さなことから把握するのが大学という場所です。私たちはその研究を頑張っていますが、新しい力が必要です。ぜひあなたも一緒に考えていきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 社会福祉を学びたいと考え、日本の大学院を出た後、さらにアメリカの大学でも学びました。そして現場を知ろうと児童養護施設に就職し、保護者と一緒に暮らせない子どもたちに出会いました。就職して1年目に児童虐待防止法が施行され、その頃から虐待を理由に施設に入所する子どもたちが増えました。わかったことは、多くの保護者も虐待はいけないことだとわかっていた、ということでした。なぜ児童虐待をしてはいけない、したくないと思っているのにしてしまうのか。どうすればこれを予防することができるのか、研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

児童養護施設保育士/児童相談所付設一時保護所保育士/乳児院保育士/公立保育所保育士/社会福祉法人保育所保育士

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野口 啓示 先生がいらっしゃる
福山市立大学に関心を持ったら

 7月24日(水)にインテックス大阪で開催される大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2019大阪会場」で、野口啓示先生が【児童虐待は増えている? 予防・防止する支援】というタイトルの講義ライブを13:30から実施!全部で266名の大学教授が講義ライブを実施するほか、本学を含む183大学が個別ガイダンスを実施します。詳しくは
 https://yumenavi.osaka(パソコン、スマホ、ケータイ共通)をご覧ください。

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