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愛知教育大学の教員による講義

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温度で動いて形が変わる、形状記憶合金の可能性

スマホや宇宙ロケットにも使われる素材

 温度によって形が変わる、形状記憶合金という金属は、実は私たちの身の回りでもよく使われています。これは一定の温度になると元の形に戻る金属で、電気やコイル、センサも不要、エネルギーを変換するアクチュエータも使わずに、熱によって金属が動くことが最大の特徴です。形状記憶合金をバネ状にすると温度を感知して伸び縮みするので、火災報知器やスプリンクラー、温水シャワーの温度調整、炊飯器の圧力調整部分などに使われています。
 少量の電気を使って伸び縮みさせることもでき、スマホのカメラ機能や、宇宙ロケットの切り離し部分などにも使われています。省スペースで省電力、軽量化に貢献する合金なのです。

特性を調整して、医療器具としても活用

 形状記憶合金は、ニッケルとチタンを合成してつくられます。この割合を変えたり、熱処理を変えたりすることで、形が回復する温度や、弾性といった性質を変えることができます。柔軟性にも長(た)けていて、人の体温で元に戻るようにした医療器具もあります。血管を広げる器具や、がん細胞のある臓器に直接薬を届ける器具、内視鏡などにも使われています。医療現場では、なくてはならない素材にもなっています。

アイデア次第で、広がる活用分野

 さらに、力を加えても元の形に戻ろうとする弾力性があるので、これを利用して、農作業をする人の腕を支える作業補助具や、介護をする人の腰への負担を軽減する器具も開発されています。教育の分野ではエネルギー変換の教材などに利用して、科学技術の楽しさを伝えるアイテムとして活用されています。
 また、これまではワイヤー材としての製品が中心でしたが、3Dプリンタや鋳造(ちゅうぞう)法を用いて立体的な加工も可能となりつつあります。複雑な形状ができれば、まったく新しい緩衝材といった商品開発も可能となります。とてもユニークで特徴のある形状記憶合金は、アイデア次第で活用の幅がますます広がるでしょう。

この学問が向いているかも 技術教育学、金属学、物質工学、機械工学


教育学部 中等教育教員養成課程 技術専攻 教授
北村 一浩 先生

先生の著書
先生がめざすSDGs
メッセージ

 その時々で、興味のあることや好きなことに夢中になって取り組み、それを続けましょう。興味があることを調べ、考えて知るというプロセスが、社会に出た時に役に立ちます。私は学生の就職支援も行っていますが、企業が求めているのは、そうした学ぶ姿勢や意欲です。専門性の高い仕事など、学んだ内容が必要になる分野ももちろんあります。でも、何かに一生懸命取り組んでいるか、その経験があるかが問われることが多いのです。
 ぜひ、高校や大学時代は、好きなことや興味のあることに懸命に取り組んでください。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から工作が好きだった私は、工業高校の教師である父の影響で、コンピュータプログラミングも楽しんでいました。大学に進学して制御工学を学ぶうちに、もっと本質的な学びをしたいと思うようになりました。新素材によって世の中を変えられることに魅力を感じ、研究室は新しい素材の開発に関わる分野に進みます。そして大学院で温度によって形が変わる形状記憶合金という金属に出合い、衝撃を受けました。原子が動いている姿を目にできるすごさ、変化の設定が自由にできることに魅了され、実用化をめざした研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

中学校技術科教員/学校事務/ /熱処理会社生産技術/部品会社事務/官公庁事務

研究室

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