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講義No.09822

匂いを使って自分の身を守り、仲間に危険を知らせる植物の不思議

自分を食べる虫の天敵を匂いで呼び寄せる

 植物は、実は匂いを出すことでコミュニケーションをとっています。匂いを介したコミュニケーションの形には大きく2種類あり、1つ目は植物が自分の身を守るために匂いを出す「三者系」と呼ばれる現象です。例えば、モンシロチョウの幼虫に食べられたキャベツの葉は、天敵であるアオムシサムライコマユバチを呼び寄せる匂いを発し、モンシロチョウを撃退しようとします。コナガという害虫に食べられた場合は、同じように天敵であるコナガサムライコマユバチを呼ぶ匂いを発するのです。

仲間や血縁固体に危険を知らせる

 もう1つの現象が「プラントコミュニケーション」です。ある植物が虫に食べられた場合、特定の匂いを発し、隣にある植物がそれを感知して前もって虫に食べられにくくなるような自衛反応を示します。さらに興味深いことに、食べられている植物の親や兄弟など、血縁の固体の方がより強く防衛します。つまり、植物は匂いで血縁認識ができると考えられるのです。
 1980年代にこうした生態が報告された際は、単に隣の植物の匂いが移ったからだと指摘されましたが、2000年代に発展した遺伝子解析の手法を使って、植物間でコミュニケーションがしっかりと成立していることが証明されました。

農作業への応用など、期待されるさらなる研究

 匂いの成分は、青葉アルコールや青葉アルデヒドといった炭素原子が6つ連なってできる成分の一群や、テルペン系などがあります。葉っぱをちぎったときに出る青臭い匂いや、キンモクセイやレモンなどのさわやかな匂いにも含まれています。一方、植物が匂いをどの部分でどのように感じているかなど、植物のコミュニケーションにはまだまだ解明されていないことが残されています。研究が進めば、米や大豆の収量を上げる効果がある植物を特定するなど、農業分野にも大きく貢献することが期待されています。

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この学問が向いているかも 生態学

龍谷大学
農学部 植物生命科学科 准教授
塩尻 かおり 先生

メッセージ

 植物や昆虫の生態を研究する上では、思いがけないことが起こったときに最も楽しさを感じます。もちろん、「こうに違いない」と思って研究を進めたことが、推測通りに証明されるとうれしいものです。しかしその推測が外れて、もっとすごいことを昆虫や植物が行っていることがわかったときの方が、生態系の奥深さや複雑さを感じられ、研究の醍醐味を感じられます。
 あなたも「なぜだろう?」と思うことがあれば、当初の好奇心を大切にしながら、自分で調べたり、詳しい人に聞いたりして、不思議の謎に迫ってください。

先生の学問へのきっかけ

 私は、植物の匂いと昆虫の生態との関係を専門にしています。子どもの頃から生き物全般が好きで、動物の生態を取り上げるテレビ番組を見ては、将来自分も生き物に関わってみたいと思うようになりました。大学では、昆虫の行動について研究している教授に出会って感銘を受け、三者系と呼ばれる植物と昆虫の生態に関する研究に取り組みます。一度は民間企業への就職が決まったものの、三者系の分野で大きな発見があったことから内定を辞退し、研究者の道を志しました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品メーカー/外食産業/大学院/農業関係

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塩尻 かおり 先生がいらっしゃる
龍谷大学に関心を持ったら

 7月20日(土)にポートメッセなごやで開催される大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2019名古屋会場」で、塩尻かおり先生が【植物の知られざる能力】というタイトルの講義ライブを13:30から実施!全部で206名の大学教授が講義ライブを実施するほか、本学を含む145大学が個別ガイダンスを実施します。詳しくは
 https://yumenavi.nagoya(パソコン、スマホ、ケータイ共通)をご覧ください。

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