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講義No.09775

脳内ネットワークをつくり変えて運動能力を強化する「作業療法」とは

脳に学習ネットワークをつくる

 作業療法とは、患者さんの脳の中を変えて、今までできていたことをもう一度、学習してもらう治療法ともいえます。作業療法士はどの道具をどのように使い、どのように声をかければ、患者さんが特定の動作ができるようになるのかを読み解き、課題を設定します。その課題を患者さんがクリアできれば、さらに繰り返し行うことで、脳内に課題をスムーズにこなすための学習のネットワークがつくられ、強化されていきます。

重要なのは難易度

 課題の内容はさまざまですが、重要なのはその難易度です。例えば、高次脳機能障がいの人の注意力を強化したい場合、その人が特別に興味を持つ課題に静かな環境で集中してもらうことは簡単です。しかしそれでは、脳に新たな学習のネットワークはつくられず、注意力を強化することはできません。一方、雑多な環境での訓練は難易度が高すぎて、患者さんは課題のクリアをあきらめてしまいます。ベストなのは、10回中4回成功でき、努力をすれば8回成功するくらいの「中難易度」の訓練です。この難易度に設定すれば、脳は学習する状態になることがわかっています。つまり、作業療法士がいかに中難易度の課題を設定するかが、リハビリの成功を左右するのです。

スポーツにも適用

 このような作業療法のメソッドをスポーツに応用する研究も進められています。例えばサッカーの場合、試合中は敵の存在や緊張感などさまざまな負荷が選手にかかります。一定の負荷を超えると、冷静な判断ができず、注意力が散漫になるなど、認知機能にいわば一時的な障がいが現れ、練習でできていたこともできなくなってしまいます。そこで今、特定のプロサッカー選手を対象に、どのようなときにそうした「障がい」が現れやすいのか、脳の働きや認知機能の特性を調べることで、その選手がどんなトレーニングをすればミスをしにくくなるのか、また、周りの選手がどうサポートすれば最大限の力を発揮できるのかがわかると考えられています。

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この学問が向いているかも 作業療法学、脳科学

藍野大学
医療保健学部 作業療法学科 教授
酒井 浩 先生

メッセージ

 作業療法士は、生活に必要な動作の訓練に付き添う人、というイメージがありますが、実は脳や体の働きを読み取って、訓練するプログラムをつくるのが仕事です。
 藍野大学作業療法学科では脳についても学び、身につけた知識や技術を人々が明るく暮らせる社会の実現のために生かす力をつけます。その考え方は、障がい者や認知症の患者さんだけでなく、認知症予防にも役立ち、いずれはスポーツの世界でもニーズが高まるでしょう。「脳」という切り口でさまざまな可能性を持っている作業療法の仕事に、ぜひ関心を持ってください。

先生の学問へのきっかけ

 私は高校時代、工学や薬学に興味がありましたが、実際に受験する大学を考え始めた時期に、医療従事者の家族から、患者さんのリハビリを助ける仕事があると聞いて興味を持ち、病院を見学しました。そこで、理学療法士や作業療法士が、患者さんの体に触れたり声かけをしたりすることで、患者さんの動きや表情が変わる様子を目の当たりにし、「カッコいい、リハビリに関わりたい!」と思うようになったのです。また、作業療法を選んだのは、心理学や脳科学に関係があり、面白そうだと思ったからです。

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酒井 浩 先生がいらっしゃる
藍野大学に関心を持ったら

 7月24日(水)にインテックス大阪で開催される大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2019大阪会場」で、酒井浩先生が【「作業療法的スポーツプロジェクト」】というタイトルの講義ライブを11:00から実施!全部で266名の大学教授が講義ライブを実施するほか、本学を含む183大学が個別ガイダンスを実施します。詳しくは
 https://yumenavi.osaka(パソコン、スマホ、ケータイ共通)をご覧ください。

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