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講義No.09774

プラスチックで、病気の予防や早期発見、治療ができる時代へ

次世代の高分子が医療を劇的に向上させる

 医療現場では、カテーテルや人工臓器といった機器にさまざまな高分子(プラスチック・ポリマー)が使われています。中でも今、次世代の高分子として注目を集めているのが、スマートポリマーと呼ばれる機能性高分子です。
 スマートポリマーは温度や光、pH(水素イオン濃度)、音、振動といった環境の変化を認識して、その性質を変化させることができます。これを目的に合わせてデザインし、例えばカプセル化して血管に流すことで、がん細胞にピンポイントで治療薬を投与できます。また、がん細胞のある場所に高分子が集まるようにして、がんの場所を特定することも可能です。

細菌感染の抑制や食品ロスの軽減にも有効

 別のスマートポリマーとして、抗生物質が効かない黄色ブドウ球菌などの細菌を吸着して細胞膜を破壊する効果がある新材料が開発されています。スマートポリマーの構造をデザインすることで、細菌を破壊する一方で、ヒト細胞へは無害な材料を合成することができます。このフィルムを手術後の傷口に貼れば、感染症を防ぐことができます。またこの特性を生かしたラップを作れば、食品を細菌から守ることができ、長期間の保存が可能となります。日本の食品ロス問題にも貢献できるでしょう。

病気を早期発見し、その人にあった治療を実現

 そのほかにも、病気のシグナルを検出するスマートポリマーを合成し、病気を早期発見する技術も開発されています。患者の性別や年齢、病状などに応じて、その人に合った治療ができる医療の確立をめざすものです。この技術は、患者の負担を軽減でき、「生活の質(quality of life:QOL)」を高めることにつながります。さらには、日本が抱える大きな問題である医療費の削減にも貢献できるでしょう。医療を中心にさまざまな分野に活用できるスマートポリマーは、実用化への道が開かれつつあります。

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この学問が向いているかも 高分子化学、医工学、材料工学

静岡理工科大学
理工学部 物質生命科学科 講師
小土橋 陽平 先生

先生の著書
メッセージ

 現代は幸運なことに、幅広い情報を手軽に入手することができます。本や会話、ネット、イベントなどから得た「印象に残ったこと」を大切にし、それらを並べてみてください。自分は何に興味を持っているのかが客観的に見えてくるでしょう。好きなことや得意なことを通して物事を考えたり、それらを職業にしたりすることは、人生をきっと豊かにします。もしあなたが「材料」に興味を持っているならすてきです。なぜなら、材料が変われば産業や社会が変わるので、50年後、100年後にも残る学問分野だからです。ぜひ一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私は高校生の時、科学者に憧れていました。進路選択で自分が科学の何に関心があるのか探ろうと、新聞記事の切り抜きを集め始めました。3カ月ほど経つと傾向が見えてきました。それは医工学に関する記事で、特に新しい材料の開発や応用技術に関するものが多かったのです。そこで自分は医療に応用される材料に興味があると確信し、工学部に進学しました。ナノテクノロジーやナノアーキテクト二クスなどの概念をもとに、極小サイズの材料を開発し医療への応用をめざしました。そしてスマートポリマーと出合い、今の研究につながっています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

化学企業技術/化学企業製造/食品企業品質保証

研究室
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小土橋 陽平 先生がいらっしゃる
静岡理工科大学に関心を持ったら

 7月20日(土)にポートメッセなごやで開催される大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2019名古屋会場」で、小土橋陽平先生が【医療をサポートする機能性高分子】というタイトルの講義ライブを14:20から実施!全部で206名の大学教授が講義ライブを実施するほか、本学を含む145大学が個別ガイダンスを実施します。詳しくは
 https://yumenavi.nagoya(パソコン、スマホ、ケータイ共通)をご覧ください。

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