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講義No.09736

高分子の性質を物理と化学で解明する

プラスチックで水槽の窓が大きくなった

 水族館の大型水槽の窓の面積は、以前に比べてかなり大きくなりました。これは、水槽の素材が二酸化ケイ素を主とするガラス製からアクリル系高分子を主としたプラスチック製に変わったためです。プラスチックはガラスに比べて大きな変形に耐えることができるため、大きな水槽の水圧でも割れることがありません。
 プラスチックは、長いヒモ状の高分子が折り畳まれたり、糸まり状になったりしてできています。高分子の糸まりは、とても伸び縮みしやすく、それによってプラスチックに力が加わっても柔軟にそれを受け流すことができるのです。

高分子と水

 高分子の中には水に溶けるものも多く、その溶け方も高分子になる前の分子(モノマー)とは大きく変わってきます。あるモノマーは条件によって水に溶けたり溶けなかったりしますが、モノマーをつなげて高分子にすると、高分子の糸まりが拡がったり縮まったりするようになります。さらに、モノマーを三次元的に組み上げると水を含んだゼリー状の物質になります。このゼリー状物質は条件を変えると水を吐き出して縮んだり、水を吸収して膨らんだりします。水への溶けやすさはモノマーの「並べ方」でも変化します。例えば、ヒモ状の高分子の幹(主鎖)に対して、枝(側鎖)の並び方を変化させると水への溶けやすさが変わってきます。

仕組みの理解と応用

 このように、分子をつなげてヒモ状にすると、小さな分子でできた材料ではありえないさまざまな現象が起こります。最近では、モノマーの並べ方をかなり精密にコントロールできるようになってきたため、高分子の化学的な構造が高分子の物理的性質とどのような関係にあるかが、かなり詳細に解明されるようになりました。私たちの身の回りには、生体を含めて、高分子があふれています。したがって、モノマーの並び方と高分子の性質の関係を理解することは、医療、化成品、食品などに応用可能な、新たな高分子化合物の開発につながると期待されます。


この学問が向いているかも 高分子物理化学

福岡大学
理学部 化学科 教授
勝本 之晶 先生

先生の著書
メッセージ

 化学科では、物質や生物が、どうやってできあがっているかを分子や原子のレベルから研究します。このような研究を行うために、いまのうちから身の回りで起こっている不思議なことをたくさん目に留めておいてください。それらに対して、大学では答えがたくさん出てきます。また、自分で考えることもできるようになります。
 もうひとつ、研究で重要なことはトライ&エラーです。いろいろなことに挑戦することが、大学で化学を学ぶ日々を楽しくするために大事なことなのです。

先生の学問へのきっかけ

 理学部で高分子の研究をしていますが、大学時代は農学部で、環境問題について学んでいました。しかし、自然ではさまざまな現象や物質が複雑にからみあい、一点に注目するだけでは環境問題は解決できないことに気づいたのです。その後、自然現象の複雑さや環境を構成する物質そのものに関心が移り、理学に進路を変更しました。高分子は複雑さの源であり、原子や分子の多様な組み合わせが、さまざまな性質をもつ物質を生み出します。化学と物理の手法を用いて、高分子そのものや高分子が関わる複雑な現象の解明に挑戦しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬会社/ゴムメーカー/食品会社/塗料メーカー

研究室
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勝本 之晶 先生がいらっしゃる
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※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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