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講義No.09697

薬の形で、効果が変わる! ~製剤の不思議~

薬の効きやすい人、効きにくい人

 薬は、錠剤・カプセル剤・貼り薬・目薬など、さまざまな形をしていますが、病気に効く成分だけでできているわけではありません。例えば、飲み薬には、有効成分を水に溶けやすくするものなど、患者さんの体内に入りやすくするための物質も入っています。なぜなら薬は固体のままでは吸収されず、分子のサイズになって初めて吸収されるので、水に溶かして分子状態にすることが大切なのです。ただ、どのくらい吸収されるかは個人差があるため、薬の効きやすい人、効きにくい人の差が出るのです。

実は薬の多くが吸収されていない?

 体に薬を届けるための条件として、1つは細胞膜への入りやすさがあり、分子のサイズや脂なじみの良さが必要とされます。そして、もう1つの条件が先ほども述べた水への溶けやすさです。現在、開発されている薬の7~9割が水に溶けにくい性質を持っており、仮に100の成分を体内に入れても2、3しか吸収されないケースもあります。しかし、吸収されにくいからと多く与えると、人によってはたくさん吸収しすぎて、副作用が起きてしまいます。ですから効率良く吸収されるために、いかに水に溶けやすくするかが研究の大切なテーマとなっています。

小さなバケツが薬を運ぶ名人!

 そこで注目されているのがシクロデキストリンという糖です。大きさが100万分の1ミリに満たないシクロデキストリンですが、バケツのような形をしていて、内側は脂なじみが良く、外側は水に溶けやすい性質を持っているので、いろいろな種類の有効成分の分子を中に入れて、効率良く体に届けることができるのです。この物質と製剤の技術を利用すれば、これまで使えなかった薬も使えるようになり、治せなかった病気を治せるようになるかもしれません。
 薬剤学・製剤学では、このように薬物や添加物を対象に、分子の動きや相互作用を見ながら、薬の形や必要な場所への届け方も研究されています。


この学問が向いているかも 製剤学、薬剤学、薬学

愛知学院大学
薬学部 医療薬学科 講師
小川 法子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 「薬」というと、錠剤やカプセル剤を思い浮かべるでしょう。そのような医薬品が体に入る最終的な姿を「製剤」と言い、錠剤・カプセル剤・貼り薬といった形のことを「剤形」と言います。病気を治す化合物(有効成分)を安全で使いやすい製剤にするためには、さまざまな工夫がなされています。
 私はその工夫の1つとして、水に溶けにくい有効成分を溶けやすくして製剤にする研究をしています。今まで見捨てられていた薬にも光を当て、病気の人を助けることのできる分野です。製剤の工夫に興味があればぜひ一緒に学びませんか。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの時、気管支喘息で苦しみましたが、薬を飲むと発作の苦しさから解放されて「薬はすごいな」と強く思いました。また、虫や生き物が大好きで、花瓶の水を顕微鏡でのぞいて変な微生物が動き回るのを見てワクワクしていました。そんな生物への興味と病気の人を助ける医療系の仕事への思いから、大学は薬学部に進みます。3年生の時「薬剤学は、ほかの分野にはない薬学独特の学問」と教わり、薬剤学・製剤学に興味を持ちました。現在は薬の有効成分を水に溶けやすくする研究で、患者さんに使いやすく体にやさしい製剤をめざしています。

大学アイコン
小川 法子 先生がいらっしゃる
愛知学院大学に関心を持ったら

 愛知学院大学は、建学以来、時代の要請に応えながら社会に貢献できる人材を育成してきました。130年を超える歴史を通じて受け継がれてきたのは、人間性を重視する仏教精神です。禅の教えをもとに「行学一体」の人格形成に努め、「報恩感謝」の生活のできる社会人を育成することを建学の精神としています。9学部16学科+短期大学部で構成された中部地区有数の規模と伝統を誇る総合大学。日進・楠元・末盛と2014年4月に名古屋都心部に開設した名城公園の4つのキャンパスで12,000人の学生が学修・研究に励んでいます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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