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講義No.09660

さまざまな分野で応用できる「分子シミュレーション」

実験の前に予測を立てる

 コンピュータによる分子シミュレーションは、分子・原子レベルのあらゆる現象に応用できます。例えば「オゾンホール形成に関わる大気反応のメカニズムを知りたい」という地球規模の現象の根本に関わる分子シミュレーションもできます。ですから、いろいろなメーカーが「商品開発にシミュレーションを使いたい」と考えています。商品開発にかかる実験の時間と経費を節約できるからです。特に創薬については、何万通りの合成物を試す必要がありますから、実験の前段階でおおまかな予測を立てるためのツールとして、分子シミュレーションが必要なのです。

次世代スパコンで広がる可能性

 万能に見える分子シミュレーションですが、欠点があるとすれば、計算で扱うことができる分子の数に限りがあることです。近年、シミュレーションは大規模化しています。理化学研究所計算科学研究センター(神戸市)に設置されたスーパーコンピュータ「京(けい)」によって計算できるのは、数十万から数百万の分子シミュレーションまでです。「京」は2019年8月16日に計算資源の共用を終了し、性能が100倍程度に向上した新しい「次世代のスーパーコンピュータ」に置き換えられる予定です。そうなると分子シミュレーションができる規模は拡大するはずです。

動画で直感的に現象を理解できる

 実験と比べるとシミュレーションは分子の挙動を動画にして直接見ることができるので、直感的に現象を理解できます。現在の研究は「実験でわからなかったことを、シミュレーションで明らかにする」というスタンスですが、今後は「シミュレーションが予言したことを、実験で確かめるというレベルにまで手法を向上させる」ということが目標となります。
 研究ツールとしてさまざまな可能性がある分子シミュレーションですが、この分野に携わる研究者は全国に散らばっています。共同研究の機会が広がれば、分子シミュレーションが多くの分野で応用されるようになるでしょう。


この学問が向いているかも 物理化学、計算化学

富山大学
工学部 工学科 応用化学コース 准教授
石山 達也 先生

メッセージ

 面白そうと思った気持ちを大事にして、「物事の本質を理解したい」「根本を知りたい」という意欲を持つ学生と一緒に研究に取り組みたいと考えています。最初は「化学実験には興味がない」という消極的な思いがあってもいいので、あなたの発想力やオリジナリティーを持ってきてほしいです。
 分子シミュレーションの分野を志すならば、数学は共通言語・概念です。物理や化学も今、しっかりと学んでおいてください。また、化学実験に興味がある人でも、シミュレーションは研究のツールとしてきっと役に立つと思います。

先生の学問へのきっかけ

 最初は宇宙工学志望でしたが、学生の時に流体力学のコンピュータシミュレーションの講演を聴き、教科書の流体力学の法則を分子レベルで考えると、とてもわかりやすいと気づきました。また、統計物理学の法則が分子レベルで破綻する場合があることも理解できました。分子シミュレーションは物理や化学を理解する際、対象をスパッと切り開く万能ナイフです。その後、水の分子モデリングや分子シミュレーション手法の開発、それを使った新しい理論の構築、生体分子や生体適合性材料界面の分子構造研究など、多様な分野に取り組んできました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

非鉄金属開発/システム開発/食品会社開発

研究室
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※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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