夢ナビWebセレクション

専修大学の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 哲学、
  • アニメ(アニメーション)、
  • 日本人、
  • 信仰、
  • 自然、
  • 神、
  • 世界観、
  • もののけ姫、
  • 宮崎駿、
  • 祭り(まつり)・祝祭

「自然」の中に神を見ていた~日本人の世界観の原点とは~

トトロに描かれる神様

 宮崎駿アニメの『となりのトトロ』を見たことがありますか? 畑の先にうっそうと木が茂る小高い丘があり、鳥居をくぐって登っていくと神社の先にトトロの住む大木があります。木にはしめ縄が巻かれていることから、塚森という、山の御神木であることがわかります。でもよく見ると手前の畑の中にはとても大きな切り株が描かれていて、かつて人間がこの大木を伐って畑を作ったことがわかります。道端にはお地蔵様が祀(まつ)られ、道祖神なども描かれています。トトロのアニメを観察すると、日本人の自然と神様への思いを読み解くことができるのです。

風土記ともののけ姫

 今から1300年も前の奈良時代の地方の風土や文化を記録した『風土記』には、古来の日本人と神様との関係が書かれています。ある土地を開墾していたら、谷戸の神様が大蛇になって現れて人間を妨害しました。人間は大蛇を山に追いやってしまいましたが、この土地を人間の畑にする代償に、大蛇を神様として祀っていくと約束します。つまり、自然を壊す行為をするけれど、その後に神社を建立して壊した自然を神様としてお迎えするのです。
 宮崎アニメの『もののけ姫』にはこれと似たシーンがあります。タタリ神が出てきたので殺してしまいますが、村の長老のおばあさんが「あなたの御霊(みたま)をここにお祀りします」と言うのです。風土記の内容とどこか符合します。このように、古来の日本人の信仰は自然に根差していることがわかります。

芸能は神様に捧げるもの

 神社で行われる祭りは土地の神様との交流の行事です。祭りでは踊りや能を行うことがありますが、これらの起源は人間が見て楽しむものではなく、怒らせたかもしれない神様の気持ちを鎮めるために奉納するものでした。舞台の一番の特等席は神様のものであり、人間はついでに脇からのぞかせてもらっているのです。
 哲学とは人生や物事のあり方を探究する学問です。こういった日本人の持つ世界観を知ることは、私たちの生き方を考える手がかりになるでしょう。

「笑い」と「いのち」を哲学する

夢ナビライブ2019 東京会場

アイコン

笑いが緊張をほぐす

アイコン

微笑は他人にも浸透する

アイコン

日本語から無くなった笑い「ヱラク」

アイコン

講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 哲学


文学部 哲学科 教授
出岡 宏

メッセージ

 自分が今いる世界をまったく疑わず、社会に馴染むように生きることが最良だと考える人が多いように思います。スマートフォンで自分の興味があることだけを見ていれば、気持ちのよい情報だけに囲まれますが、それだけで生きるのは寂しいことです。
 人生の中で、何かの折に違和感を覚えることがあります。それを心の隅にそっと残しておけばよいのです。時間が経つとワインが熟成されるように、心のどこかでゆっくりと考えることができます。違和感をやり過ごすことなく、でも、急がずに考えることを大事にしましょう。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の時、読書が好きで、志賀直哉や夏目漱石など自然主義の作家を中心に読んでいました。実は夏目漱石は哲学にとても詳しかったこともあり、漱石を通じて哲学の存在を知りました。私は経済的なことばかりが優先される社会に違和感を覚えていました。そういう世界でサラリーマンになっている自分は想像がつかなかったのです。そして、経済というものさし以外の豊かさを探していくうちに、哲学の分野を研究するようになりました。大学のゼミでは、日本の芸能や文学を通して、「人間とは何か」というテーマを学生と共に考えています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

出版社編集/広告会社営業/小学校教諭/市役所職員/職人(彫金・皮革)/IT企業システムエンジニアなど

TOPへもどる

夢ナビロゴ

夢ナビ編集部copyright(c) 2008- Frompage Co.,Ltd. All Rights Reserved.