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立正大学の教員によるミニ講義

関心ワード
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仏教のポジティブな世界観~一人ひとりが必要とされている~

「ナヌ」から始まる討論

 インドでは大昔から、お互いに遠慮せず徹底的に議論することで真実・真理に迫ろうという習慣が根づいています。偉い人に忖度して発言を差し控えたり、都合の悪いことは記憶にありませんなどと言おうものなら不戦敗です。仏教も含め、インドの宗教哲学はこうした厳しい議論を勝ち抜いて続いてきました。問答を記したインドの文献の中では、異議あり!の意味で発する「ナヌ」という言葉を皮切りに議論が始まります。疑問に感じたことは臆せず表に出すインドでは言葉のもつ力を重視し、自分の発言に対しても責任感が強いといえます。

仏教は実は意外とポジティブ

 仏教と聞いてまず思い浮かべるのはお葬式でしょうか。あるいは「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」でおなじみの、無常観かもしれません。一切皆苦、空、無我の境地、解脱など仏教用語を並べると、厭世(えんせい)的で現実逃避的なネガティブなイメージがわいてきます。けれどもそれは誤解です。仏教は実は、あらゆる生き物の存在意義を認め尊ぶ、とても前向きな教えなのです。その根底にあるのが「縁起(えんぎ)」と「空」という考え方です。

世界の中に自分がいる

 仏教の世界観を一言でいうと縁起でしょう。世の中のすべては幾つもの因果関係の連鎖が重なり合って成り立っているという世界観です。華厳経(けごんきょう)という仏典の中に「重々無尽の因陀羅網(いんだらもう)」というたとえがあります。世界の個々の物はそれぞれ原因となり結果となりながら、お互いに関連し合って存在しています。雨後の蜘蛛の巣の網目に玉をなす無数の水滴を思い浮かべてください。その一つひとつの玉に周囲の玉の姿とその玉の中の様子が映りこんでいます。これは「世界の中に自分がいる」ということを示唆しています。自分が他の存在に生かされていることを認識し、各自が世界の一部として自らの役割を果たそう、というのが仏教の根本的な思想のひとつなのです。あなたが、この世界の大切な一員であり、世界をこのように存在させている一因なのです。

君も世界を創造している~縁起と空について

この学問が向いているかも 仏教学


仏教学部 仏教学科 教授
戸田 裕久 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 提示された知識や情報をすぐに信じるのではなく、根拠や情報源を確認し納得してから受けとめるようにしてください。情報があふれている現代社会では、その真偽を見極めることがとても大切です。
 教科書に書かれていること、学校で習うことは現時点での定説です。それをしっかり頭に入れることはもちろん大事ですが、常識も新しい証拠一つで覆るかもしれない、と頭の片隅に置いてください。当たり前を疑うことで、新たな発見があるかもしれません。そうすればあなた自身が正しい知識の提供者、確かな情報の発信者になれることでしょう。

先生の学問へのきっかけ

 幼い頃からSFが好きで、並行世界や異次元世界に興味がありました。一方で実家の寺院で常に触れていた仏教にも壮大な世界観があると気づき、仏教発祥の地・インドについて学べば宇宙の神秘もわかるのではと思い、大学では仏教を含むインド哲学を学びました。文献を読み解くのは大変でしたが、サンスクリット語や知識が身につき自力で読めるようになると、まだ読まれていない資料が宝の山に見えました。最近はお経をいかにヴィジュアル化するかを考えています。翻訳では伝わりにくい原文の面白さを映像で表現できる可能性があるからです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

民間企業

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