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講義No.09565

方言を知ることで、日本語の起源がわかる……かも!

標準語と方言の言語体系は異なる

 方言には、標準語とは異なる独自の体系があります。例えば、標準語で「木が倒れている」と言う場合、すでに倒れているという「完了」の意味と、今倒れつつあるという「進行」の2つの意味があります。どちらであるかを状況から判断しなければなりません。ところが、九州北部の方言では、「完了」の場合は「倒れとう」と言い、「進行」の場合は「倒れよう」と言うのです。方言のほうが、意味的に細分化されています。勘のいい人は気づいたかもしれませんが、この「完了」と「進行」の区別は英語で習ったはずです。このように、ことばの細かい違いに注意を向けられるようになると、語学のセンスが抜群に高まります。

意味も用法も独自に変化する方言

 実は、「倒れとう」と「倒れよう」は語源が違うと考えられています。「倒れとう」の語源は「倒れておる」です。これが変化して「倒れとう」になりました。この語源は標準語の「倒れている」に似ています。しかし、「倒れよう」の語源は「倒れおる」で、「て」が抜けています。まったく語源が異なっています。この点からも、方言は標準語とは体系が異なると言えるのです。さらに、意味も時代によって変化しています。もともと完了をあらわす「倒れとう」は、若い世代では完了と進行の両方の意味で使われています。つまり、標準語の「倒れている」と同じ意味に今「なりよる」と言えます。

なぜ、消滅しそうな方言を記録すべきなのか

 方言は、受け継がれるものがある一方で、消滅しそうになっているものも数多くあります。例えば、沖縄の黒島という離島では、人口は約200人ですが、島の方言が話せる人は70代以上の30~40人です。今、その人たちから方言を記録しなければ後の時代に残すことができません。それは文化として残すという意味だけではなく、日本語の起源・歴史を知るという点でも重要です。言語は常に変化していて、その変化の中身とその理由を知らなければ、日本語の歴史をたどることはできないからです。

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この学問が向いているかも 方言学、言語学、日本語学

長崎大学
多文化社会学部 多文化社会学科 准教授
原田 走一郎 先生

メッセージ

 あなたは、本やインターネットから得られる情報が情報のすべてだと思っていませんか? 本当は、自分の足で現地に行ってみて、実際に調べないとわからないことが、世の中にはたくさんあります。このように自分の体を使い、五感を総動員して情報を得る能力が、これから絶対に求められます。
 そのための方法を、多文化社会学部では、いくつも学ぶことができます。あなたがこのような方法に関心があり、実際に現場に行く人間になりたいと思うのであれば、ぜひ一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私は大学に入って、見知らぬ土地に行って未知の言語を調べることに興味を持ちました。このような学問を記述言語学といいます。中でも私が関心を持ったのは、言語はなぜ変化するのか、また世界にはたくさんの言語があるのに、なぜある言語は独自の体系を持っているのかということです。私が研究対象として選んだのは、沖縄の離島・黒島です。現地に行って方言を話す高齢の方から話を聞き、記録として残しています。このような研究は、日本語の歴史についての謎を解明する材料を提供するものと考えています。

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原田 走一郎 先生がいらっしゃる
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 長崎大学は、出島を介した『勉学の地』としての誇りと『進取の精神』を受け継ぐとともに、宗教や科学における非人道的な負の遺産にも学び、人々が『平和』に共存する世界を実現するという積極的な意志の下に教育・研究を行います。そして、蓄積された『知』を時代や価値観を越えて継承し、人類を愛する豊かな心を育て、未来を拓く新しい科学を創造することによって、地域と国際社会の平和的発展に貢献します。

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