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講義No.09525

なぜ法律で科学技術を規制しなければならないのか?

科学技術の砦(とりで)となる法

 現代社会において、科学技術がどんどん進歩していて、法律の整備が追いついていないという実態があります。技術と法律のギャップが大きくなってしまうと、ひずみが生じて社会問題になります。
 例えば人工知能(AI)について考えた場合、「いつか人工知能が人間の能力を超える」というシンギュラリティ(特異点)が懸念されています。技術が社会を覆したり、技術を悪用されたりしないためには、社会の動きや科学技術の日々の積み重ねから、将来的にどのような問題が起こるかを予想し、先回りして拘束力のある法律を整備することが求められます。

原発問題に見る法律の問題点

 近年問題になっている原子力発電所(原発)においても、法律の整備が遅れています。原子力の利用は1950年代から始まりましたが、原発の廃炉についての法律が作られたのは2000年代になってからです。原発の寿命は40年と法律で定められており、安全対策をした上で許可をとれば1度だけ20年延長することができます。しかし安全対策に莫大な費用がかかるので、玄海原発のように廃炉になる原発も増えており、2027年までに現在稼働中のすべての原発が寿命を迎えます。つまり、廃炉が差し迫っているにもかかわらず、使用済み核燃料の最終処分場についてはいまだに具体的な場所が決まっていないのです。本来ならば実現可能な法律を整備しておかなければならないことを後回しにしていたために、このような問題が発生しています。

現実に法律が追いついていない

 すでに法律があっても、その法律で定められている内容が現実的ではない、ということも問題になります。例えば原発の廃炉方法について、法律では「ガラスで使用済み核燃料を固めてドラム缶に詰め地下300m以下の深さに埋める」という内容が定められています。しかし、1000年後には放射線が地中から漏れ出すという見解もあり、現実的な方法とは言いがたいのが実情です。これについては、現実に合わせた法改正が求められます。

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この学問が向いているかも 法学

明治学院大学
法学部 グローバル法学科 教授
高田 寛 先生

先生の著書
メッセージ

 これからの世の中は科学技術がますます進展して、社会も変化していきます。国際情勢に目を向けても、とても不安定だと感じるでしょう。これからの生き方を考えるためには、正しい知識や正確な情報を身につけ、正しい判断をしていくことが大切です。また、先をよく見るためには物事を広い視野でとらえることも必要です。
 法学を学ぶ場合でも、理系文系問わずさまざまな方向にアンテナを張る必要があります。法律を適用する対象となる事件は教室の中ではなく、「現場」で起きているからです。

先生の学問へのきっかけ

 私はもともと大学と大学院で情報工学について勉強し、卒業後は民間企業でエンジニアとして働いていました。しかし人事異動で法務部に転属になり、そこではじめて法律に出合いました。コンピュータの世界は、0と1で表される、白黒がはっきりしたものです。しかし法律の世界にはグレーゾーンがたくさんあり、このことが「許せない」と思うとともに「勉強しよう」という気持ちを抱き、法律の大学院に通い始めました。その後、本格的に研究の道に進み、長年関心を抱いていた科学技術という視点から法律を研究しようと決めました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

外資系コンピュータメーカー・セールスエンジニア/ICT・AIシステム開発企業システムエンジニア/官公庁総合職

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高田 寛 先生がいらっしゃる
明治学院大学に関心を持ったら

 150年以上もの歴史を持つ明治学院大学。本学の起源は、1863年にアメリカ人宣教医師ヘボン博士が開設した英学塾から始まります。無償で診察を行いながら、英和・和英辞典を編纂し、ヘボン式ローマ字でも有名なヘボン博士。その信念「Do for Others」を教育理念とし、本学ではグローバル社会に対応できる学術知識と教養を培い、他者とともに道を切り開ける人材を育成しています。

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