夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

講義No.09508

エスニック料理だけではわからない~背後にあるエスニシティを知る~

インドカレーからエスニシティを考える

 共通の言語や宗教を持つ集団を民族と呼ぶことがありますが、社会学では、その集団の意識や文化的・社会的背景を含めた「エスニシティ」という概念で表すこともあります。日本ではさまざまな国の料理を食べることができますが、それだけでは、エスニシティを受け入れているとは言えません。
 例えば日本でインドカレー店を営んでいる人々の中には実は、ネパール人が多くいます。中には、過酷な労働環境や期限付きの不安定な状況で働いている人もたくさんいます。インドカレーをおいしく食べるだけでは、インドカレーを作っている人々の背景を理解したり、立場を改善したりということにはなりません。

エスニシティを持続させるためのアレンジ

 移住した人が、ホスト社会(受け入れる側の多数派の社会)で自立して生活するための手段としてエスニック料理店を営む場合、本場の料理をそのまま出しても受け入れられず、料理にアレンジが加えられることも珍しくありません。例えば横浜市鶴見区には、沖縄にルーツを持つ人々が多く暮らしています。当初は沖縄出身者に故郷の味を提供する場として始まった沖縄料理店も、ほかの鶴見区の人にも受け入れてもらって店を持続させていく必要があったため、味にアレンジを加えていきました。そのため、本場の人に「オリジナルの味ではない」と受け取られることもあります。

オリジナルの文化は誰がつくった?

 そもそも、何がオリジナルの文化であるのかは誰にもわかりません。しかし多くの人々は、エスニック料理を食べることで、「これがオリジナルの食文化だろう」というイメージを抱きます。鶴見区を対象とした調査では、食事そのものだけでなく、食事における仕草に対しても、「沖縄出身者らしい行動」というエスニシティの意識が生産されていることがわかりました。人々の抱いたイメージがエスニシティのオリジナルのようにとらえられ、「沖縄出身者とそうでない人」という違いを生み出していると考えられるのです。

参考資料
1:人種とエスニシティ

アイコン

講義を視聴する(1分)

アイコン

講義を視聴する(1分 その2)

アイコン

講義を視聴する(1分 その3)

アイコン

講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 社会学、文化人類学

明治学院大学
社会学部 社会学科 准教授
安井 大輔 先生

先生の著書
メッセージ

 「社会学」を勉強すると、正しいと思っていたことが覆(くつがえ)されることがあり、ときには認めたくないような事実も見えるようになります。楽しいだけではなく大変なこともありますが、日本や世界がどのような状況なのか、何が争いごとの種になっているのか、ということを知ると、社会に蔓延(まんえん)している偏見に対して真偽を見抜く力や、社会を見る目を養うことができます。
 社会を少し違った角度から見て、あなたがこれまで持っていた考えは本当に正しかったのか、ということを一緒に考えていきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私は大学時代、経済学部で勉強していました。卒業後は会社員として働いていましたが、人々や社会に触れるフィールドワークに興味があり、フィールドワークを専門とする文化人類学を学ぶために大学院に進学しました。大学院では、フィールドワーク以外のアプローチも学び、アンケートや統計分析といった社会調査の方法を身につけました。そしてもともと好きだった「食べること」と社会学を関連づけた研究を続けています。何度も相手と顔を合わせ、関係を築いてからインタビュー調査をするなど、人とのつながりや信頼関係を大切にしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品会社営業職/地方自治体公務員

大学アイコン
安井 大輔 先生がいらっしゃる
明治学院大学に関心を持ったら

 150年以上もの歴史を持つ明治学院大学。本学の起源は、1863年にアメリカ人宣教医師ヘボン博士が開設した英学塾から始まります。無償で診察を行いながら、英和・和英辞典を編纂し、ヘボン式ローマ字でも有名なヘボン博士。その信念「Do for Others」を教育理念とし、本学ではグローバル社会に対応できる学術知識と教養を培い、他者とともに道を切り開ける人材を育成しています。

TOPへもどる