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鳥取大学 農学部の教員による講義

関心ワード
  • ホルモン、
  • 遺伝子、
  • 精子、
  • 創薬、
  • バイオマーカー、
  • 内分泌攪乱物質・内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)

動物から読み解く遺伝子の不思議

環境ホルモンが精子数減少の原因?

 近年、世界中で不妊が大きな問題になっています。その一因は、男性の精子数の減少と言われています。その理由として、環境ホルモンとも呼ばれる、「内分泌攪乱(かくらん)物質」の問題が明らかになってきました。内分泌攪乱物質として、ホルモンと類似した構造を持つビスフェノールAやノニルフェノールといった物質が知られています。

遺伝子工学的解析とは?

 私たちの体を構成する細胞の一つひとつに、遺伝子が2万~3万個含まれています。この数は人間も動物もさほど変わりません。そして細胞に存在する鍵穴に、ホルモンなどの特定の物質が鍵となって差し込まれると、遺伝子のスイッチが入ります。遺伝子の命令にしたがって細胞は皮膚、神経、臓器などを形成します。
 ところが、本来の「鍵」ではない内分泌攪乱物質が細胞の鍵穴にうまく入り込んでしまうと、細胞が正しい機能を果たせなくなります。悪性腫瘍に形を変えれば、がんという病気になります。精子の減少も、精子を生み出す幹細胞への内分泌攪乱物質の影響が考えられます。実際に、孵化(ふか)直後の魚が内分泌攪乱物質を摂取した結果、オスとメスが入れ替わってしまった、という現象も確認されています。

生命の謎を探ろう

 現在、細胞は鍵穴となる「入口」と、発生する現象という「出口」はわかっていますが、細胞内部で遺伝子がどのような処理をしているのかなど、解明できていないことが数多くあります。しかも細胞は、動物体内では単体でなくネットワークとなって相互に作用しますから、考えられるパターンは無数にあるのです。
 しかし、本来の物質以外のものが与える影響は悪いものばかりではありません。もし、よい影響を与える物質を発見できれば、それは「創薬」につながります。遺伝子の働きを網羅し、特定の物質に反応する遺伝子を「バイオマーカー」として分析すれば、薬の働きを解明することはもとより、生命がどのように成り立つのかという謎を解くことができるかもしれません。

参考資料
1:精子形成期精巣における発現遺伝子
この学問が向いているかも 獣医生化学、遺伝子工学、放射線生物学


農学部 共同獣医学科 教授
山野 好章 先生

先生の著書
先生がめざすSDGs
メッセージ

 あなたの夢は何でしょうか? 自分の夢をかなえたいとき、最低限の基礎学力は必要ですが、これは必要条件でしかありません。どのような分野でも、学問にとって大切なのは興味や好奇心といったもので、学力を身につけようとするだけでは、興味や好奇心が持続しません。
 興味を持っていろいろ考えるからアイデアが生まれます。物事に対して「なぜだろう?」と自発的に考える気持ちが大切です。私自身、自分の人生を振り返っても、そんな気持ちがもっとあったら、人生の可能性はより広がっていたかもしれないと感じます。

先生の学問へのきっかけ

 私は小さい頃から、カエルやフナをつかまえて観察するのが好きでした。高校時代は科学クラブで、山に登って気象や星座、草木などを観察する活動をしました。大学では昆虫ウイルス、葉緑体ゲノム、ホルモン遺伝子分析と、幅広く生命現象の解明を行いました。特に、高血圧発症に関わる遺伝子解明により、降圧剤が開発されたことは特筆できます。専門とする遺伝子の分析については、探究すればするほど新たな発見につながり、これからもどんどん面白くなる分野だと思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

創薬企業・薬の開発と安全評価/産業動物獣医師/小動物臨床獣医師/大学院進学によるさらなる学究の推進

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