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講義No.09481

DNAやRNAを狙いうち! 近未来型創薬「核酸医薬」

従来型医薬品の標的はタンパク質

 薬局で買える薬や処方される薬など、私たちはさまざまな形で薬を治療に使っています。日本の医療用医薬品は約2万品目といわれていますが、現在使われている医薬品の多くは分子量500以下の「低分子医薬品」です。低分子医薬品は病気を引き起こすタンパク質を標的として鍵と鍵穴のような関係で結合し、タンパク質の機能を阻害して作用します。化学反応で製造できるので安価ですが、新たな「ぴったり鍵穴にあう鍵(薬)」を探し出すことが難しくなっています。

DNAやRNAを狙え!

 人間の体を形成する約60兆個の各細胞には、遺伝子の本体であるDNAが入っています。DNAの塩基配列情報がRNAに転写され、次に体の組織を形成するタンパク質に翻訳される流れをセントラルドグマといいます。病気の原因となる遺伝子から最終的に作られた悪いタンパク質の働きを止めるのではなく、上流であるDNAやRNAを標的にして悪い遺伝子を分解できれば、効率的に悪いタンパク質の生成を防げます。そこで、DNAやRNAと同じ核酸分子をうまく使い、病気の人の遺伝子配列のみを標的にして病気を治療する「核酸医薬」が注目されています。

安定性の高い人工核酸の開発がカギ

 DNAやRNAの塩基には必ず決まった相手と対になるという性質があります。核酸医薬はこれを利用して、病気の原因となる特定の塩基配列にぴったりマッチする核酸分子を作り、悪い遺伝子だけをブロック、あるいは分解しようとするものです。核酸医薬はDNAやRNA、タンパク質など生体内に存在するほとんどの分子を標的にできるため、難治性疾患の特効薬開発も夢ではありません。
 しかし、天然の核酸分子は非常に不安定なので、有機化学の力で人工的に疑似核酸を合成し、分子の安定性を高めることが課題です。狙ったDNAやRNA分子を確実にとらえ高い結合性を有する人工核酸の研究開発が、近未来の薬である「核酸医薬」の重要な鍵となります。

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この学問が向いているかも 有機化学、生物有機化学、薬学、創薬化学

徳島大学
薬学部 薬学科 教授
南川 典昭 先生

メッセージ

 薬学部での学びは、一般的なイメージで考えられている範囲よりずっと広く深いものです。薬学は化学、物理学、生物学などを基礎として、これらを総合的に応用して成り立つ自然科学の一分野だからです。
 徳島大学薬学部では薬剤師を育てるだけでなく、社会に貢献する未来の創薬研究者を育成しています。世の中にはまだ治療薬が見つかっていない数多くの疾患があります。それらに打ち勝つ未来の創薬をめざし、トライ&エラーの繰り返しに耐え得るパワーと強いマインドを持ったあなたを待っています。

先生の学問へのきっかけ

 理系の勉強はもともと好きで、高校時代から「薬学って面白そうだな」という気持ちはありました。そして、当時理系学部生の一括入試のあった国立大学へ進学しました。一つの分野に絞って進学する決心がつかず、理系の基礎教養を学ぶうちに自分のしたい学問が見つかると考えたからです。結果的に選んだのは薬学の道で、そこで創薬化学、核酸化学の面白さに出会いました。初めから自分の進路をビシッと決められる若者はごく少数でしょう。何がきっかけになるのかわからないから未来は面白いのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬会社研究員/化学会社研究員/病院薬剤師

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南川 典昭 先生がいらっしゃる
徳島大学に関心を持ったら

 徳島大学は有為な人材の育成と学術研究を推進することにより、人類の福祉と文化の向上に資するため、自主・自律の精神に基づき、真理の探究と知の創造に努め、卓越した学術及び文化を継承し、世界に開かれた大学として豊かで健全な未来社会の実現に貢献することを理念としています。豊かな緑、澄み切った水、爽やかな風、温暖な気候に恵まれた徳島の地にあって、「知を創り、地域に生き、世界に羽ばたく徳島大学」として、発展を目指しています。

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