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講義No.09442

「超音波バイオテレメトリー」で、音を使って魚を追え!

海の中では音波しか使えない

 陸上の動物の行動を把握するためには、GPS発信器を取りつけるなど、さまざまな方法が考えられます。しかし、海中の生物を追うには、方法が限られます。水中では電波が届かないので、GPSなどが使用できません。目視という方法もありますが、海上の光は水深30mくらいまでしか届きません。クジラやイルカが超音波を出してえさや障害物の位置を把握しているように、海洋生物の行動を知るには、「音波」が適しているのです。漁船で使用している魚群探知機も、超音波を発信してその反射波を受信することで、魚の群れの位置を把握しています。

バイオロギングとバイオテレメトリー

 魚の動きをとらえるには、ほかにも方法があります。一つは、魚を捕まえてセンサーを取りつけて放ち、あとからそれを回収して行動を解析するというものです。「バイオロギング」と呼ばれるこの方法は、かなり多様な情報を取得できますが、回収のためにはその魚をもう一度捕まえる必要があります。
 もう一つは、同様に魚にセンサーを取りつけ、そこから超音波でデータを発信させる「バイオテレメトリー」という方法です。バイオテレメトリーでは、装置を回収する必要がなく、リアルタイムで動きを追うことができるという利点があります。行動を把握することで、魚の生態の解明や、魚の資源量の測定などにつながるものとして期待されています。

バイオテレメトリーの限界と可能性

 バイオテレメトリーでは、音波を発生させるのに大きな電力が必要なので、電池の重量が増し、多種のセンサーを載せることが難しくなります。送信できる情報が制限されてしまうのです。そのため、発信器をいかに小さくし、効率化するかが課題となっています。
 バイオテレメトリーのように遠くにあるものを観測するリモートセンシングの手法は、海洋生物だけでなく、漁具などの位置を確認する方法としても使えます。漁業や資源開発が生態系にどう影響を与えるのかを知る手がかりにもなりえるのです。


この学問が向いているかも 海洋音響学、水産学

東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科 教授
宮本 佳則 先生

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先生がめざすSDGs
メッセージ

 あなたは、大学とは「勉強」をするだけのところだと思っていませんか? 私は、「勉強」が好きだったわけではなく、興味を持ったことを突きつめて知りたいがために、研究を続け、その結果として今の自分があると考えています。
 「勉強」だと思うと、大学生活は大変だと感じるかもしれませんが、知りたいことをとことん追究していく機会ととらえてはどうでしょう。そう考えれば、どんな分野に進んでも興味を持って学んでいけます。あなたが海や海洋生物が好きなら、「海」というキーワードで、一緒に研究してみませんか?

先生の学問へのきっかけ

 親戚が造船所で働いていて、小学生の頃にそこで大きな船が造られる様子を見学したことがあります。「こんなものが造れるんだ!」と感銘を受け、造船に強い興味を持ちました。一方、オーディオのアンプを作るなど電気にも関心があり、船も好きだし電気も好きだという理由から、東京水産大学(現:東京海洋大学)に進学し、主に磁気コンパスなど、漁船が航海するための計器の研究をすることにしました。博士課程のあと、縁あって南極観測隊に参加することになり、南極の氷の下にいる魚の行動を追いかけるという調査に携わりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

電子機器メーカー研究員・営業/環境アセスメント研究員/官公庁

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宮本 佳則 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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