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講義No.09433

ロボットの「歩行」に隠された知られざるメカニズム

歩行ロボットは段差に強い!

 例えば木の伐採や山間での果樹の栽培などでは、斜面で作業を行うことが多く大型重機が入りにくいため、ロボットが道具を運んでくれれば作業の負担を軽減できます。
 運搬用ロボットを作るとき、移動の仕組みを足による歩行にすると階段などの段差に強くなります。6足より4足、4足より2足と、足の数が少なくなるほどフットワークがよくなりますが、あまり大きなものは運べなくなります。また、足を長くするほど高い段差をクリアしやすくなる半面、足自体の重量も増えてしまいます。用途に応じたバランスが重要です。

衝撃をいかに抑えるか

 足の着地の衝撃をいかに抑えるかも歩行ロボットの課題です。歩行により生じる衝撃は軽視できず、人間の靴と同様、足底にどんな材料を使うかも歩行ロボット開発のポイントになっています。衝撃を緩和するもうひとつの方法は、足の関節を使うことです。人間は階段を降りるとき、爪先(つまさき)から着地し、やわらかな足首の動きで衝撃が脳に伝わらないようにしています。ロボットならヒザを2つ作るようにして同じような機能を持たせられますが、その制御のための計算量は格段に増えます。また、動きの自由度が上がる分、どこにどういう体勢で足を着くか、きちんと決めておく必要があります。

高機能で効率的なロボットを

 足を上下させると、同時に横方向の回転運動も生まれます。人間は歩行の際、足と同時に反対側の腕も前に出して回転を相殺しています。上半身に荷物を積むタイプのロボットではその方法は使えないので、下半身だけで回転を制御する必要があります。また、足を上下させるには大きなパワーも必要で、大型の運搬用ロボットの場合約3000ワット、家1軒分ほどの電力を使うこともあります。ちなみに人間はとても効率がよく、100ワット程度で動くことができます。エネルギーの観点からも、ロボットの制御はなかなか難しいのですが、歩行ロボットの活躍の場は多くあり、機能が高く効率的な歩行ロボットの実現が期待されています。

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この学問が向いているかも ロボティクス、機械力学、計測工学

成蹊大学
理工学部 システムデザイン学科 教授
柴田 昌明 先生

メッセージ

 ロボット研究の醍醐味(だいごみ)は、作って動かせるところです。そのためにはまず、機械的な構造をきちんと考えて精度よく製作します。多数つながれている電線を1本ずつ丁寧につないでいきます。プログラムを一行ずつ丹念に組んでいきます。一つひとつの作業を積み上げていくわけですが、そのロボットが思い通りに動いたとき、かけがえのない達成感を味わえます。
 ロボット研究では機械や電子回路、コンピュータと、幅広い知識が必要ですが、言い換えれば、間口が広く、興味ある技術分野がひとつあれば入っていける世界でもあります。

先生の学問へのきっかけ

 中学生の頃からパソコンでプログラムを組むのが好きでした。しかしリアルな世界でものを動かしてみたいと考えるようになり、大学でロボットの研究室に入りました。最初に取り組んだのは腕型のロボットでしたが、ロボットというからにはやはり歩かせてみたいと思い、歩行ロボットに挑戦することにしました。実際に取り組んでわかったのが、人間が何気なく行う「歩く」という行為の複雑さ、難しさです。終わりが見えず苦しいことの多い研究ですが、ちゃんと動いたときの感動は忘れがたく、楽しい日々を送っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

家電メーカー・製品開発/自動車会社・製品開発/機械メーカー・設計開発/電機メーカー・設計開発/食品会社・製造設備/化学プラント・設備設計/化粧品会社・製造設備

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柴田 昌明 先生がいらっしゃる
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 成蹊大学は、経済学部※・経営学部※・法学部・文学部・理工学部からなる総合大学です。文系・理系のすべての学生が4年間、緑豊かな吉祥寺のキャンパスで過ごすので、所属学部以外の友人との交流や学年を越えたネットワークづくりも可能です。また、先生との距離が近く学生一人ひとりの個性を尊重する少人数教育やキャリア教育が充実しています。さらに、2020年度より、各自が自分の興味関心やニーズに沿った学習を進められるよう副専攻制度を設けます。詳細は成蹊大学ホームページをご確認ください。 ※2020年4月設置構想中

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