夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

講義No.09430

「社会に必要とされる」商品デザインにするために必要なこと

「人」が中心にいる生活科学のデザイン

 日本のデザイン教育は芸術学から始まり、工学で発展しました。そして今、注目されているのが生活科学分野のデザインです。生活科学の中心には「人」がいます。人のことを考えたデザインとはどういうことでしょうか?
 社会は、赤ちゃんやお年寄り、障がい者などさまざまな人で構成されています。まずは、対象となる人とものとの関係を数値として科学的に分析することがデザイン学の入り口になります。その上で材料の特性とつくり方を考察するのが、デザイン学の出口となり、この経緯を通じて「人に貢献できるもの」をつくることができます。単に造形を考えればいいわけではないのです。

科学的実証に基づく最適なデザイン

 例えば、障がい者の人が使う自助具は、ひと目で障がい者用とわかる道具であることが一般的です。しかし、これが「カッコイイ道具」であったらどうでしょう。使いやすいだけでなく、デザイン性が高く生活空間になじむアイテムであってもいいはずです。
 そんなコンセプトで産学協同によって障がい者向けの包丁を開発し、実用化した事例があります。まずは片手のみで安定して使える形、座位姿勢でも負担がかからない形を探るために、グリップや刃の角度を少しずつ変えて何度も科学的に数値化し、分析と検証を繰り返し、その結果に基づいて、生産方法も考慮しながら理想のデザインに導いたのです。

よく考えられたものには社会を変える力がある

 また、理想の座り心地と使い心地のよいクッションを作るための検証をすると、異なるメーカーの素材の組み合わせが最適だったりします。人と材料との関係を検証することで、「人が本当に欲しいと思えるクッション」を実現できます。医療や福祉だけでなく、身近なあらゆるものにおいて、検証する余地は十分にあるのです。
 実際に使うアイテムの機能性やデザインが変わると、空間が変わり、使っている人の気持ちも変わってきます。ものの力で社会を変えることもできるのです。

アイコン

講義を視聴する(1分)

アイコン

講義を視聴する(1分 その2)

アイコン

講義を視聴する(1分 その3)

アイコン

講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも デザイン学、生活科学

椙山女学園大学
生活科学部 生活環境デザイン学科 教授
滝本 成人 先生

メッセージ

 デザイナーの目的は、変わったものを作ることではなく、「新しいものを作る」ことです。身近にありふれたものが機能的なデザインに一新されるだけで、劇的に便利になることもあります。デザインの力で社会に貢献するのです。
 日本初の使い捨て飲料容器であるヤクルトの容器は、1968年からデザインが変わることなく使われ続けています。誰がこの「完璧なデザイン」をしたのかは、あまり知られていませんが、これこそデザイナー本来の職能(職務を果たす能力)です。あなたもぜひ、身近なもののデザインに着目してみてください。

先生の学問へのきっかけ

 私は大学で建築を学び、建築家をめざして設計事務所に就職しました。しかし既製品を組み合わせる仕事が多く疑問を感じました。そこで芸術大学の大学院でさらにデザインを学び、ヤクルトの容器のデザインなどで有名な「剣持デザイン研究所」に転職し、家具や照明、カーペットや壁紙などのデザインの仕事に夢中になりました。こうした経緯から、芸術と産業の両面からデザインを見ることができるようになったのです。現在は、企業と連携して医療計測器や福祉用品のデザイン開発に取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

家具デザイナー/インテリアデザイナー/ディスプレイデザイナー/グラフィックデザイナー/ジュエリーデザイナー/家庭科教員など

大学アイコン
滝本 成人 先生がいらっしゃる
椙山女学園大学に関心を持ったら

 時代をこえて
 自立した女性を育む
 女子総合大学として。
 
 椙山女学園大学の起源は、明治時代に創設された女学校にあります。日本が真に伸展するためには、女子教育を向上させ、女性がもつ力を社会の中で生かすことが不可欠と信じ、時代に即した先進的な学びに取り組んできました。そのスピリットは今に受け継がれています。いつの時代も揺ぎない一人の人間としての価値観を育み、凜と生きるしなやかで逞しい力を養成する女子総合大学ならではの豊かで多様な学びが、ここにあります。

TOPへもどる