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講義No.09406

少しの工夫が日常生活を変える~「できないこと」を「できる」ように~

高齢者の「できなくなった」を解明する

 高齢になり筋力や認知機能が低下すると、日常生活が今まで通り行えなくなることがあります。若年者や健常者は、環境の変化に対応してやり方を変えることができますが、高齢者はその変化に合わせにくいものです。
 例えば、掃除機がかけられなくなるということが高齢者によく見られます。そんな場合の掃除機の状態を調査してみると、使用するたびに本体とホースをばらして収納していたり、ホースを短く折り畳んだまま使っていたりと、手間や負担のかかる使い方だったことがわかりました。

課題の難易度や環境を変えることでできること

 毎日の食事の準備ができなくなることもあります。調査してみると、ある人は毎日4品を調理していました。この場合、例えば品数を4品から2品に減らすことで、食事の準備という課題の難易度を下げられます。こういった日常生活で生じる困難を改善するための指導方法を見つける学問として、「日常生活活動学」があります。人が持っている問題そのものは変えずに、道具や環境を変えることで改善できるようにする方法を分析します。
 作業療法士は日常生活活動学を用い、高齢者や、身体または精神に障がいのある人に対して、日常生活能力や社会生活能力の回復を支援します。直接、手助けをするのは簡単ですが、少しの工夫により自分でできるようになることが、自立を助け、健康の増進につながります。

一般社会の日常も分析する

 日常生活活動学は高齢者などの問題だけではなく、一般社会にも応用できます。例えば、会社の中で人事を検討する場合、その人の特性にあった役割に配置することは、本人にとっても仕事の効率においてもよいことです。日常生活活動学の考え方から、会社の日常で起こっている状況を分析することで、誰がどのような部署になるのがベストなのか、最も効果的な配置を考えることができます。日常生活活動学は当たり前に行っていることにも疑問を持ち、日常の些細(ささい)なことを科学する学問なのです。

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この学問が向いているかも 作業療法学

首都大学東京
健康福祉学部 作業療法学科 准教授
石橋 裕 先生

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メッセージ

 大学の勉強が高校までの勉強と最も違うのは、自分で疑問点に気づき、解決方法を開発していくところです。特に、疑問に気づく能力はあらゆる学問に共通する必須事項であり、作業療法学では、掃除機の形、料理の品数、生活習慣に疑問を感じられるかということです。このような疑問の発見にはセンスが必要で、大学ではそのセンスを磨くことが求められます。疑問点が与えられず、自分で見つけなければならないことは、非常につらいかもしれません。ですから、ぜひ高校時代から、何事にも「なぜだろう」と思う習慣をつけてください。

先生の学問へのきっかけ

 私が作業療法士になったきっかけは、障がいのある弟と一緒に生活していたことです。幼い頃からリハビリテーション施設や特別支援学校に出入りしていたため、私にとって障がいは身近な存在でした。
 作業療法士となり、患者の生活機能の改善のために解剖学や神経生理学などに興味を持ち、勉強に励みました。しかし、ある日、道具や環境を工夫することで日常生活ができるよう支援する先輩の姿を見て、衝撃を受けました。その時、私は自分に足りないものに気づき、日常生活活動学を学ぶようになり、現在に至ります。

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 東京都立大学(現首都大学東京)は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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