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講義No.09405

化粧の出来栄えは気持ちを左右し、行動にも影響する

利き手と非利き手で眉を描いてみると

 あなたは化粧をしたことがありますか。「可愛く、きれいに見られたい」という気持ちから化粧を始める人もいるでしょう。特に女性は、大人になるにつれ、それが日常的な行為になり、外出する前には必ず化粧をするという人が多くなります。普段から化粧をしている人に対する、こんな実験があります。
 まず、普段どおりに利き手で眉を描いてもらいます。そして、アンケートに答えた後にいったん化粧を落としてから、次に非利き手で眉を描いてもらい、同じようにアンケートに答えます。第三者にはどちらの顔もほとんど変わりなく見えますが、本人には心理的な変化が起こります。アンケートを分析すると、非利き手で眉を描いたときは対外的な自信や積極性が落ちているのがわかります。つまり、けがや病気で体が不自由になったり、高齢化にともない不器用になったりすると、化粧をすることに対する自信をなくし、ほかの行動までもが消極的になってしまう可能性があるのです。

「できない」を「できる」に変換する

 ここで、化粧の中でも目を華やかにすることを考えてみましょう。アイライン、アイシャドウ、マスカラなどが代表的です。目の際にペンシルで線を引くアイラインは目をはっきり見せるために効果的ですが、難易度が高く、手が震えるとうまく描けません。ですから、病気や高齢になると描けなくなってしまうことがあります。しかし、アイラインから比較的簡単なアイシャドウに変えることで目を華やかに見せる効果が感じられるかもしれません。大切なことは、これまでとやり方は違っても「できない」を「できる」に変換することなのです。

「些細なこと」こそできるように

 些細なことができずに嫌な思いをしたことがありませんか。作業療法士は、日常生活の中で安全に楽に行動できるよう治療や支援を行う国家資格の専門職です。作業療法のイメージとして「手工芸」を挙げる人が多いですが、実際は少し違います。作業療法士は、そのような些細なことこそできるように支援する専門職なのです。

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この学問が向いているかも 作業療法学

首都大学東京
健康福祉学部 作業療法学科 准教授
石橋 裕 先生

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メッセージ

 大学の勉強が高校までの勉強と最も違うのは、自分で疑問点に気づき、解決方法を開発していくところです。特に、疑問に気づく能力はあらゆる学問に共通する必須事項であり、作業療法学では、掃除機の形、料理の品数、生活習慣に疑問を感じられるかということです。このような疑問の発見にはセンスが必要で、大学ではそのセンスを磨くことが求められます。疑問点が与えられず、自分で見つけなければならないことは、非常につらいかもしれません。ですから、ぜひ高校時代から、何事にも「なぜだろう」と思う習慣をつけてください。

先生の学問へのきっかけ

 私が作業療法士になったきっかけは、障がいのある弟と一緒に生活していたことです。幼い頃からリハビリテーション施設や特別支援学校に出入りしていたため、私にとって障がいは身近な存在でした。
 作業療法士となり、患者の生活機能の改善のために解剖学や神経生理学などに興味を持ち、勉強に励みました。しかし、ある日、道具や環境を工夫することで日常生活ができるよう支援する先輩の姿を見て、衝撃を受けました。その時、私は自分に足りないものに気づき、日常生活活動学を学ぶようになり、現在に至ります。

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 首都大学東京は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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