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講義No.09393

光で音を見る? 新しい音のセンシングを切り拓く

音の情報を広い範囲で集めるには?

 音は遠くに伝わるにつれて小さくなるので、マイクロホン1つで遠くの音をとらえるのは難しいです。広い範囲で音の情報をとらえ、処理するためには、マイクロホンを分散的にばらまくことができればよいのですが、これは簡単ではありません。通常のマイクロホンはオーディオケーブルでつながなければならず、配線が煩雑になりますし、ワイヤレスマイクロホンは、無線帯域の制約から使える数に限りがあったり、混線したりしてしまいます。

音の強さを光の明るさに変換する

 近年、「光で音を見る」新しい音情報処理への取り組みが始まっています。この研究では、マイコンボードにマイクロホンとLEDを取り付け、音の強さを光の明るさに変換する「ブリンキー」という小型のセンサノードが開発されています。つまりブリンキーのLEDは、音が大きいと明るく、音が小さいと暗く光ります。また、ブリンキーはバッテリーも内蔵しており、ケーブルも無線接続も使わず、広範囲にばらまくことができます。ばらまかれたたくさんのブリンキーをビデオカメラで撮影すれば、広範囲での音の大きさの情報を一括して得ることができます。ビデオカメラの画素数は100万ピクセル以上が普通ですから、ブリンキーが100個あっても1000個あっても問題ありません。

ビデオカメラを使った音のセンシング応用

 ブリンキーを利用し、広範囲の音情報をビデオカメラで得ることができるようになると、いままでとは全く違う音のセンシング応用が切り拓ける可能性があります。例えば、災害時にブリンキーをヘリコプターでばらまいてドローンカメラで見て回ることにより、助けを求めている人の声を見つけることができるかもしれませんし、工場内にブリンキーを配置すれば、監視カメラで機械の異常音を検出し、位置を特定することもできるでしょう。音の大きさの情報だけを用い、音声自体を記録しているわけではないので、プライバシーが保護され、高齢者の見守りなど、家の中で用いる応用にも安心して使うことができます。


この学問が向いているかも 音響工学、計測工学

東京都立大学(旧・首都大学東京)
システムデザイン学部 情報科学科 教授
小野 順貴 先生

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メッセージ

 人間にとって「音」はコミュニケーションの道具であると同時に、外界を認識する重要なメディアでもあります。人間は音声で意志を伝達しあい、音楽を楽しみ、音で周囲のさまざまな状況を知覚しています。人間のように高度な音情報処理の実現のため、これまで多数の研究が進められ、近年のAI技術により音声認識はついに実用レベルに達しました。次のステージでは音楽、そしてあらゆる音の認識へと移っていくでしょう。PCが音楽演奏を手伝ってくれたり、スマホが周囲の音を聞き、危険があれば教えてくれたりする日も近いかもしれません。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃から音楽とコンピュータが好きでした。当時もっていたマイコンには音源や音声合成機能が備わっており、これを使って曲や歌を演奏させて楽しんでいました。大学に入ってからは中南米の民族音楽サークルに入り、チャランゴという楽器を演奏していました。民族音楽の楽譜は通常市販されておらず、演奏したい曲があれば、自分で何度も聞いて楽譜にする(いわゆる耳コピ)必要がありました。そこで、それぞれの楽器音をうまく分離できたら採譜しやすいのにと考え始めたことが、音の研究をやりたいと思うきっかけになりました。

研究室
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小野 順貴 先生がいらっしゃる
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 東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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