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講義No.09382

動物の消化管の発生のメカニズムから人体の形成過程を探る

脊椎動物に共通する消化器官の順序

 動物の消化管は、ニワトリでは受精卵が誕生してから2日くらいで体内に管の形ができて、さらに数日のうちに、細かい器官に分化していきます。消化管は人間を含む脊椎動物の場合、口から肛門に向かって、咽頭、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸の順に連続して並んでいて、通常、この順序が入れ替わることはありません。その消化器官の発生のメカニズムについて研究が進められています。

前腸と後腸が真ん中でつながる

 器官の発生と分化を調べるためには、ニワトリを使った実験がよく行われます。生命の元になる胚が、親の体内ではなく体の外で発生し、しかも卵黄の上にのっているため、観察しやすいからです。細胞を特殊な蛍光物質で染色するなどの方法を使い、成長にともなって細胞がどう移動していくのかを観察します。
 消化管は初期状態では、大きく前腸と後腸に分けられます。発生当初の胚は、平たい形をしています。平面状だった胚は、ある時急に起き上がるような形で前方の端が曲がり、折れ目のようなものができます。同時に折れ目がもう1つ逆向きにもでき、それがZ字形に深くなっていくことで、袋状の構造ができあがり、それが前腸となります。同じような折れ曲がりが胚の後方にもでき、袋状となって後腸を形作ります。そして、前腸は後方へと伸び、後腸は前方へと伸びていき、真ん中で2つの管がつながって、1本の長い消化管となるのです。

人体の構造の起源を見る

 消化管は、動物の体の中でもごく初期にできるものなので、消化管の発生を調べると、人間の体全体がどのように形作られていくのか、ということも少しずつわかってきます。消化管がどのような細胞の動きでできていくのかを観察すると、頭や顔の構造がどのようにできあがっていくかという、平面的な胚が立体的な人体となっていく過程も見えてきます。
 私たち人間の、人間らしい体がどのようにできるのか、それを調べるためのヒントが、消化管の発生にも隠されているのです。

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この学問が向いているかも 発生生物学

首都大学東京
理学部 生命科学科 准教授
福田 公子 先生

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メッセージ

 ほかの世界でも同様ですが、科学の世界で一番大事なのは、「疑問を持つ」ということです。疑問を持つためには、疑問のタネを探さなければなりません。授業中でも、外を歩いているときでも、身のまわりではいろいろな疑問が生まれるはずです。ぜひ、あなたもそれを探してみてください。
 そしてできれば、その疑問を解くための努力をしてみてください。これを積み重ねていくと、大学受験も、大学に入ってからも、とても面白い日々が過ごせます。がんばってください。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から天文学や恐竜などいろいろなものに興味があり、何かの研究者になりたいと考えていました。中高生の頃には医師になりたいとも思いましたが、高校の生物の先生が面白い授業をしてくださったことから、生物という学問の面白さに気づきました。改めて考えてみると、私は「患者を治したい」というより、「生物の仕組みを知りたい」という気持ちのほうが強かったため、大学では理学部に進み、発生学の研究者となりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬会社研究員/高校教員/医療器具メーカー研究員/玩具メーカー開発/コンサルティング会社営業/編集IT会社開発/大学職員

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 首都大学東京は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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