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講義No.09358

免疫機能を利用した最新薬を、多くの患者さんが使えるようにする研究

人体の免疫機能から生まれた新しい治療薬

 人体に備わっている免疫機能では、あるリンパ球が、病原菌やウイルスなどの異物(抗原)に対する「抗体」を作っています。産生された抗体は、抗原と結合することで、攻撃を担当する細胞にとっての目印となり、異物が体内から除去されます。
 この仕組みを利用したのが、がんや関節リウマチなどの最新治療薬である「抗体医薬品」です。抗体はタンパク質の一種なので、各抗原に対応した抗体を作るDNAさえ解析できれば遺伝子工学技術で人工的に作れます。抗体は、1つの抗原に対して1種類しか作られないので、「標的」とする抗原だけが特異的に持っている分子を探し、それに対する抗体を作製して薬の主成分として使うのです。

副作用リスクは低いけれど

 抗体医薬品は標的だけを攻撃するので、副作用のリスクは従来の抗がん剤と比べてかなり低いです。ただ、人体に使う医薬品を作るには、デリケートな哺乳類の細胞が必要であり、また抗原ごとに異なる抗体を設計しなければならないので、非常に高価です。
 そこで現在、抗原と結合する抗体の「腕」だけを、安価に生産する研究が進められています。抗体の腕は、胴体と比べて分子量が小さいので、微生物を使って大量に作ることができます。抗原ごとに変えなければならない部分が安価になれば、抗体医薬品の製造価格もかなり抑えられるはずです。

熱に強い抗体医薬品をつくる

 タンパク質が主成分なので、冷蔵で1年ほどしか保存できないのも抗体医薬品の弱点です。これを改良するため、アミノ酸の配列を変え、熱に強いタンパク質を作り出し、常温で1年以上保存できるようにする研究が進んでいます。
 熱に強いアミノ酸配列を解明するのは、まるで複雑なパズルを解くような試行錯誤の繰り返しです。それでも抗体医薬品が安価になり、長期保存もできるようになれば、より多くの患者さんを救えるようになるでしょう。


この学問が向いているかも 免疫学、分子生物学、タンパク質工学

崇城大学
薬学部 薬学科 教授
大栗 誉敏 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 薬学は、病気などで苦しむ人を助けるための研究領域です。あなたが薬学部への進学を志望しているなら、地域のボランティアなどで社会貢献する喜びを体験しておくと、大学に入ってから、より頑張れるはずです。
 それから、「物理は苦手だけど化学は好きだから、薬学部でも大丈夫かな」などと安直に考えてはダメです。化学の基礎知識はもちろん重要ですが、服用した薬が体内で溶ける速度を考えるには物理、その代謝経路を考える際には生物の知識も必要です。理科系全般を理解できるように頑張ってください。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃から体の仕組みに興味を持ちました。中学、高校時代も理系科目が好きだったことに加え、母が薬学部出身だった影響で薬学部に進学し、生体の仕組みを細胞レベルで学びました。そして大学院で、現在の研究のベースとなる「タンパク質研究」に巡り会います。
 「タンパク質なんて単なる栄養素の1つ」と考えていましたが、生体の主要部品であるだけでなく、生命活動そのものを支配するタンパク質の研究は、まさに目からウロコの連続でした。モノを作ることも好きだったことから、タンパク質を人工的に作り出す研究にも没頭しました。

大学アイコン
大栗 誉敏 先生がいらっしゃる
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 崇城(そうじょう)大学は薬学、生物生命、工学、情報、芸術の5学部からなる総合大学です。“世界で活躍できるプロフェッショナルの育成”を目指し、最先端の施設・設備・研究を備え、学生一人ひとりを厳しく育てる実践的な教育プログラムにより、高い就職率や国家資格合格率を維持しています。理系私立大学では全国初の英語を公用語とする学習施設「SILC(シルク)」があり、英語ネイティブ講師による英語教育が成果を上げています。本学の地である熊本から産業界の未来を切り拓く若者を輩出する学舎でありたいと決意しています。

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