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講義No.09356

ナノサイズの分子を組み上げ、新しい半導体デバイスを作る!

ナノメートルの世界とは

 コンピュータのCPU(中央演算処理装置)は、シリコンウエハをリソグラフィ技術で微細加工して作られています。最新のCPUの回路の線幅は約10ナノメートルです。
 シャープペンシルの芯の太さは500マイクロメートル(ミクロン)です。赤血球は7~8マイクロメートル、細菌は1~2マイクロメートルで、この程度の大きさまでなら光学顕微鏡で見ることができます。1ナノメートルは1マイクロメートルのさらに1000分の1です。ちなみに原子1個の大きさは、約0.1ナノメートルです。ここまで小さいと光学顕微鏡では見えないので、走査型トンネル顕微鏡という特殊な顕微鏡を使う必要があります。

次世代の半導体デバイス材料「グラフェン」

 10ナノメートルの微細加工技術は限界に近づいています。今よりも回路の線幅を小さくしようとすれば、別の方法、すなわち分子を1個ずつブロックのように組み上げて作る方法が有望です。グラフェンは、炭素原子を蜂の巣のような六角形の格子構造に組み上げたシート状の物質です。優れた電導性と熱伝導性を持つという特色があります。この素材を細いリボン状に切り加工すれば、新しい半導体デバイスを作ることが可能です。銅などに比べれば大量の電気を流すことができ、熱伝導性に優れるので熱で自分自身が溶けることもありません。厚みは1原子の大きさなので、現在よりもさらに微細になります。

自己組織化で製造プロセスを削減

 このような物質を作るには精密な化学反応の制御が必要です。この製造方法の特色は、あらかじめ結合の強さや形状を決めて化学反応を設計すれば、自動的に材料ができることです。これを「自己組織化」と呼んでいます。この方法なら、ナノメートルサイズの微細な構造を製造することができるだけではなく、製造プロセス自体の大幅削減が可能です。
 さらに、研究開発の過程で分子の結合に関して新しい知見を得たり、思いがけない現象に出会ったりすることもあります。そこから、新たな学問や研究の道が開けるのです。


この学問が向いているかも 電子工学、物理学、物質科学

広島大学
工学部 第二類 電子システムプログラム 准教授
鈴木 仁 先生

メッセージ

 自分の進路がすぐに決まるということはありません。大学に入ればさらにさまざまな経験をするので進路は変化します。高校生の時期は一番楽しい時でしょうから、何にでも興味を持って、何にでもチャレンジするのが一番大事なことです。
 私は、表面科学やナノテクノロジーについて研究しています。この分野は、次世代半導体デバイスの開発につながる重要な基礎技術です。もし電気、分子、ナノテクノロジーに興味があれば、ぜひ私たちの研究室に来てみてください。

先生の学問へのきっかけ

 水を下から温めると水温が上がり上昇します。水面では熱を奪われて水温が下がり下降します。このように均一な状態から構造が自発的に発生することを「自己組織化」といいます。私はこの現象に興味を持ちました。現在は、ナノテクノロジーの世界で分子を積み上げて新しい素材を作る研究を行っています。実は分子も互いに引きつけあって、決まったパターンで結合して自己組織化によって規則的な分子構造ができてしまうのです。複雑な加工をしなくても自動的に材料ができ、半導体デバイスなどの微細な製品づくりでは成果が期待されています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

電機メーカー技術者/化学材料メーカー技術者/電池メーカー技術者/電力会社技術者/半導体メーカー技術者

研究室
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鈴木 仁 先生がいらっしゃる
広島大学に関心を持ったら

 広島大学は社会に貢献できる優れた人材を育成し、科学の進歩・発展に貢献しつつ、世界の教育・研究拠点を目指す大学です。緑豊かな252ヘクタールという広大な東広島キャンパスを抱え、また、国際平和文化都市である広島市内等のキャンパスを含め、12学部、11研究科、1研究所、大学病院並びに11もの附属学校園を有しています。 新しい知を創造しつつ、豊かな人間性を培い、絶えざる自己変革に努め、国際平和のために、地域社会、国際社会と連携して、社会に貢献できる人材の育成のために発展を続けます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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